仮想通貨を引き続き監視
米証券取引委員会(SEC)は21日、2025年会計年度の優先検査事項を発表した。暗号資産(仮想通貨)も「様々な市場参加者に影響を与えるリスクエリア」の一つに挙げている。
SECは、「仮想通貨およびそれに関連する製品やサービスへの投資の急増を引き続き観測している」として、関連サービスを提供する登録事業者を引き続き監視し、必要に応じて検査を実施すると述べた。
登録事業者については、特に以下の項目を満たしているかどうか検査するとしている。
- クライアントに助言する際に、それぞれの行動基準に従っているか。特に、リテール投資家や退職金に関連する投資に重点を置いた製品に着目する。
- 必要に応じて、コンプライアンス慣行、リスク開示、事業継続計画などを定期的に見直し、更新し、強化しているか。
SECは、現職のゲンスラー委員長の下、コインベース、バイナンス、リップル社はじめ様々な仮想通貨企業を「未登録証券を提供している」として提訴してきた。
仮想通貨XRPをめぐるリップル社との裁判では17日、正式に上訴し、以前の地裁判決に誤りがなかったか審査を求めている。リップル社の側も交差上訴を行っており、裁判所は双方の意見を考慮することになる。
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SEC(証券取引委員会)とは
株や債券などの証券の取引を監督する米国の政府機関のこと。1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。
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ゲンスラー委員長解任の可能性
SECの仮想通貨業界への取り締まりに関しては、明確なガイドラインを示しておらず恣意的だと以前より業界やSEC内部、議員の一部から批判されてきた。
9月にゲンスラー委員長が米下院の公聴会に出席した際には、一部議員からSECに賛同する声も上がったものの、両党の議員やSEC委員から、SECが法的に曖昧な見解を取ってきたことなどに対して批判が向けられた。
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仮想通貨に強硬な姿勢を示すゲンスラー委員長の任期は2026年6月までとなっているが、もし11月の選挙でドナルド・トランプ氏が大統領に再選した場合、早めに解任される可能性もある。
トランプ氏は以前、大統領に就任した場合にはすぐにゲンスラー氏を解任すると発言していた。
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