はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 資産運用
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨ハードウェアウォレット Ledger、創業10周年の挑戦と革新:独自インタビュー

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

セキュリティ第一のアプローチ

今年創業10周年を迎える暗号資産(仮想通貨)ハードウェアウォレットの草分けであるLedger社。来日したJean-Francois Roche執行副社長に株式会社CoinPostが独自にインタビューした内容をお伝えする。

今年、二つの新商品「Ledger Stax」と「Ledger Flex」をローンチしたLedgerだが、製品づくりの根底にはセキュリティ第一の姿勢が貫かれている。

Roche氏は、ハードウェアウォレットを提供する目的の一つは、分散化を促し、人々に所有権を与えることだが、ユーザーの利便性を考慮してセキュリティの面で妥協してしまうと、仮想通貨を失う結果に繋がりかねないため、セキュリティについては決して妥協することはできないと強調する。

同社はセキュリティに真剣に取り組んでおり、自社のホワイトハッカーチーム「Donjon」がデバイスやエコシステムへのハッキングを試みるなど、製品を徹底的にテストしている。セキュリティを確保した上で初めて、使いやすくデザイン性に優れた製品作りに取り組み始めるという。

Ledgerはこれまで累計700万台を販売したが、一度もハッキングされたことはないとRoche氏はその成果に自信を垣間見せた。

取引内容や署名の確認も可能に

Ledgerウォレットは、安全性に優れたセキュアエレメント(SE)チップを使用しており、全ての暗号化がセキュアエレメント内で行われる。例えば、ユーザー固有のアドレスはデバイスのシードフレーズによって生成され、セキュアエレメントに基づいて各アドレスと秘密鍵が作成される。

Ledger全製品には同じレベルのセキュリティが搭載されているが、新たに加わったStaxとFlexでは、より大きな画面が導入された結果、取引の概要が明確に表示され、署名する内容を「人間が読みやすい形で」画面上で認証することが可能になった。

Ledgerの新商品は、日々巧妙化する詐欺の手口など、仮想通貨を取り巻く環境の変化に対応するために開発されたものだ。

仮想通貨に対する攻撃の一つに、正確でない内容のトランザクションに署名をさせることがあるという。それを防ぐのが、チェーン上で何に署名しているのかを正確に表示する「信頼できるディスプレイ」だとRoche氏は語る。

Ledgerの「クリア署名」機能は、トランザクションデータを人間が判読可能な情報に変換し、画面上に、各トランザクションの概要が明確に表示されるため、署名する取引内容を確認した上で、認証することが可能になる。

シードフレーズ(リカバリーフレーズ)とは

ウォレットの秘密鍵を人が読める形式に変換したもの。12個から24個の英単語で構成され、シードフレーズはウォレットのロック解除に必要となる。シードフレーズを紛失した場合、ウォレットにアクセスできなくなり、保管されている仮想通貨を失う可能性がある。

▶️仮想通貨用語集

関連:Ledger Stax・Flex完全ガイド|仮想通貨の高性能ハードウェアウォレットを徹底比較

新たなサービス「Ledger Recover」

Ledgerは、ウォレット製品に加え、リカバリーフレーズを使用せずに、ウォレットへのバックアップアクセスを可能にするサービス「Ledger Recover」を提供している。

Ledger Recoverは、リカバリーフレーズを3つに分けて暗号化し、Ledger社など第三者の企業がそれぞれを保管する。ユーザーは、IDと顔認証に加え、いくつかの追加のセキュリティ対策を経て、ウォレットを最初から再構築し、回復することがことが可能になるサービスだ。

このサービスはユーザーが選択可能なオプションだが、順調に普及しており、特に新規ユーザーはとても満足しているとRoche氏は述べた。また、既存のユーザーの多くもLedger Recoverを採用するようになっているという。

関連:Ledger社、秘密鍵復元サービスをローンチへ バックドアに懸念の声も

今後の展望

Ledger社の今後の方向性として、Roche氏は次の三つをあげた。

  • セルフカストディをより簡単に:新たなデバイスや便利なサービス(Recoverなど)の導入
  • Ledger Live: 継続的な相互運用性の開発と人間に判読可能な情報の提示:クリア署名を使用して、プトロコルやエコシステムとの接続性を高める
  • Ledger Enterprise Solution:機関投資家に特化したセキュリティとガバナンス機能の提供

Ledger LiveはLedger製品に付属する同社のスーパーアプリで、市場から独立して開発された。ここ数年で急速に進化しており、数多くのブロックチェーンをサポートし、仮想通貨の取引、交換、ステーキングへのアクセスなども提供している。

ユーザーにとってより使いやすく透明性の高いアプリを目指して、価格やプロバイダーの比較も可能にするなど、Ledger Live内での取引の質を高める努力を行っているとRoche氏は付け加えた。

日本市場とローカライズ

Roche氏は、日本市場を非常に重要な市場として捉えており、歴史的に興味深いと述べた。

日本の規制は中央集権型の取引所(CEX)にとって、とても良い枠組みとなっており、大規模なCEXが強固な基盤を築き、信頼されていることはエコシステムにとって、大変重要なことだと指摘した。

また、日本市場ではCEXでハッキングが起こった事例もあることから、人々は仮想通貨について一定の成熟度に達していると同氏は見ている。さらにセキュリティへの関心もあることから、日本市場はLedger社にとって有望だと考えていると述べた。

また、日本のユーザーはローカライズされた製品や日本語でのサポートを好む傾向にあるため、Ledger社は、ウェブサイトやサポートなど、日本向けにローカライズを推進している。

Roche氏は、自己管理を中核とした、分散型の仮想通貨に対する信念に日本人が共感していると考えており、言語だけではなく、一般的なアクセスの利便性を高めることも重要だと見ている。

その一つの答えが大きな画面で操作を確認できる製品、Ledger StaxとLedger Flexとして実を結んだようだ。

関連WebX2025、東京(メイン)と大阪(招待制)で同時期開催決定

CoinPost App DL
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
18:00
OKJ、APE保有者向け『MONKY』エアドロップ対応 残高記録は1月1日
OKJがエイプコイン保有者向けに新規トークン「MONKY」のエアドロップを発表。Animoca Brandsグループが開発し、BAYCとの強力なパートナーシップを構築。配布対象者決定は2025年1月1日。
15:00
NIDT保有者にエアドロしたGET Projectとは?グローバルへの挑戦と今後の展望|CoinPostインタビュー 
国内IEO銘柄NIDT保有者にエアドロしたGlobal Entertainment Token(GET)。運営するGET Projectについて、関係者にグローバルへの挑戦と今後の展望をインタビューした。
14:05
ゴールドマンCEO、規制緩和でビットコイン投資開始の可能性を示唆 トランプ新政権が追い風に
ゴールドマン・サックスのソロモンCEOは米国の規制環境が変化すれば仮想通貨ビットコインとイーサリアムの取引を検討する可能性を示した。
11:55
アルゼンチン、ビットコイン・イーサリアム現物ETFの提供を承認 BTC準備金法案提出も
アルゼンチン証券規制当局は、米国の仮想通貨ビットコイン・イーサリアム現物ETFの提供を初めて承認した。ビットコイン準備金構想も浮上している。
11:45
11月のソラナ総括 オンチェーン活動急増、他チェーンプロジェクト進出も|Soylana Japan
11月の仮想通貨ソラナ(SOL)はオンチェーン活動が爆発的に増加し、取引量で初めてイーサリアム上回る快挙を達成。他チェーンのプロジェクト進出や、SOL価格のATH更新、最大級ハッカソン『Radar Hackathon』の結果発表など、エコシステム全体が躍進した。
11:00
コインチェック、米ナスダック上場確定
コインチェック株式会社は12月11日より米ナスダックで「CNCK」のティッカーシンボルで取引を開始する予定だ。
10:25
財政へのビットコイン活用、バンクーバー市長が分析を要請
カナダのバンクーバーの市長は、仮想通貨ビットコインに関する提案書を公開。財務戦略にビットコインを活用することについて、実現可能性やリスク、メリットを分析するよう要請している。
10:10
下値を試す展開で反発もあり得るビットコイン、仮想通貨アナリストが相場分析|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインの価格は12月10日に続き11日も9万5千ドルを割り込み下値を試す展開となったが、10日につけた安値を下回ることはなかった。
07:50
米マイクロストラテジー、今月中にナスダック100指数の構成銘柄に追加予定か
仮想通貨ビットコインの投資へ注力する米マイクロストラテジー社は今月中に、米国のナスダック株式市場に上場している代表的な企業の株式で構成される株価指数「NASDAQ100」に新たに追加される可能性が浮上した。
07:30
ミームコインBABYDOGE、過去一週間で価格2倍に イーロン関連ツイートを受け
仮想通貨ドージコインから派生したベイビードージコインは、イーロン・マスク氏の映画「ゴッドファーザ」風の黒白ツイートをきっかけに価格が高騰し、過去一週間で2倍上昇した。
07:02
トランプ氏「米大統領就任早々のBTC15万ドル到達を望む」
ドナルド・トランプ氏は米大統領就任後、早くに仮想通貨ビットコインの価格が15万ドルに到達することを望んでいることがわかった。もう1つの株式市場のように、ビットコインの価格を重視しているという。
06:40
ビットコイン・仮想通貨への量子脅威、実現は「数十年先」 アナリスト指摘
米グーグルが9日に発表した新量子チップ「Willow」が、先週ビットコインの価格が10万ドルを突破した後の急落と重なり、暗号化されたプライベートキーが解読されるリスクへの懸念を再燃させた。アナリストや物理学者たちは心配が行きすぎたと指摘。
06:05
リップル社のステーブルコインRLUSD、ニューヨークで規制許可を取得 
リップル社が開発する独自のステーブルコイン「RLUSD」に関して、ニューヨーク州金融サービス局から最終承認を獲得した。
05:55
マイクロソフト株主総会、ビットコイン投資の提案を却下 BTC価格続落
11日開催のマイクロソフトの株主総会において、株主たちは仮想通貨ビットコインをバランスシートに追加する提案を却下した。しかしアナリストは今回の事例が重要であると指摘。
12/10 火曜日
16:00
仮想通貨ハードウェアウォレット Ledger、創業10周年の挑戦と革新:独自インタビュー
創業10周年を迎えた仮想通貨ハードウェアウォレットのLedgerのJean-Francois Roche執行副社長に、セキュリティ、新製品、日本市場戦略について独占取材した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧