証券と同様に課税へ
ウクライナで暗号資産(仮想通貨)への課税制度などを定める法案が進められている模様だ。2025年1~3月期に成立させることを目指している。
地元メディアによると、ウクライナ議会財政・税・関税政策委員会のダニロ・ヘトマンツェフ委員長が、投資関連のイベントで次のように話した。
仮想通貨について言えば、議会の作業部会が第1読会に向けて法案を最終調整しているところだ。国立銀行とIMF(国際通貨基金)によって共同で作成された法案は、新年以降に完成するだろう。
仮想通貨のキャピタルゲインへの課税は、証券と同様のモデルに従い、資産が法定通貨に変換されたとき、その利益に税金がかかる仕組みになるとしている。
また、専門家やIMFと協議した結果、仮想通貨に対する免税は行わない。理由としては、従来市場での脱税を助長する可能性があることを挙げた。
関連:仮想通貨が金融商品になると税金はどうなる?|Aerial Partners寄稿
法案は2023年11月に、ウクライナの議会に登録されたものだ。個人の場合、仮想通貨取引の税率は、個人所得税の18%と軍事課税の1.5%(合計19.5%)だ。企業の場合、仮想通貨を使用した事業には18%の税率が適用される。
法人と個人には、仮想通貨を使った取引の記録を個別に保管することを義務付けている。
ウクライナは仮想通貨の草の根使用で世界6位
ウクライナは各国の中でも以前より仮想通貨に先進的な国の一つだった。ウクライナのデジタル変革省は2021年時点で、仮想通貨についての方針をまとめた報告書を発表。
これには、現実資産(RWA)トークン化や、仮想通貨のエコシステムを使ったプロジェクトの促進、国民への仮想通貨教育などが盛り込まれていた。
また、ロシアが同国に侵攻してからは政府や民間組織が仮想通貨による寄付を募集。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)その他のトークンやNFT(非代替性トークン)での寄付が世界中から集まり、その額は1億ドルを突破した。
関連:ウクライナ政府、17億円分の仮想通貨寄付金で軍需品を調達
ブロックチェーン分析企業チェイナリシスが発表した2024年の仮想通貨採用指標ランキングでは、ウクライナは1位インド、2位ナイジェリア、3位インドネシア、、4位米国、5位ベトナムに続く6位だった。
このランキングは草の根の仮想通貨使用に焦点を当てたもので、中央集権型取引所で受信されたオンチェーンの仮想通貨額、P2P(ピアツーピア)取引所における取引量などを分析し、購買力平価で調整している。
ウクライナでは、経済の不安定化と軍事侵略を受けて、貯蓄を保護する手段として人々が仮想通貨を積極的に使用している。またブロックチェーンを使用したビジネスも活発だ。なお、2023年には5位にランクインしていた。
関連:「日常的に仮想通貨を利用する国」インドが首位、チェイナリシス23年ランキング