Filecoin(FIL)の概要
Filecoinは、次世代通信プロトコルおよびストレージ技術として注目される、「IPFS」技術を用いた分散型のP2Pストレージネットワークだ。
FilecoinプロジェクトはProtocol Labsにより2014年に設立。2017年にICOが実施されると当時2億6千ドル(約300億円)近くをETH建てで調達し、2020年10月にメインネットがローンチされた。
現在、全世界には約50%の利用されていない余剰ストレージが存在するといわれており、Filecoinプロジェクトは、この余剰ストレージを貸し借りするためのプラットフォームを提供する。
本稿執筆時点(21年12月)において、世界中の数百のストレージプロバイダーがFilecoinネットワークに参加しており、Filecoinは8エクサバイト(1エクサバイト=100万テラバイト)のストレージ容量を提供している。
Filecoinプロジェクトは、現行のHTTPに代わる新たな基幹技術である「IPFS(Inter-Planetary File System)」を利用して、P2Pのクラウドストレージサービス(インターネット上のファイル共有サービス)を構築する。
すでにIPFSを採用する企業は多数存在しており、代表的なのがNetflixやGoogleなどのいわゆるテックジャイアントだ。また、Web3.0の事例として有名なプライバシーを重視した高速かつ安全な次世代ブラウザ「Brave」ではすでにIPFS上のコンテンツをサポートしている。
現在ファイルコインの新規発行料は1日辺りで約648,000FILだが、21年4月15日以降はおよそ280,000FILと新規発行料が約57%減少する見込みだ。
ビットコインの「半減期」や一部トークンの焼却(バーン)と同様、トークンの発行量(供給)が減少することで希少価値が増すことになる。
これは、ファイルコインのSAFT(Simple Agreement for Future Tokens)に基づくもの。SAFTは、割引された仮想通貨の配当を約束する代わりにプロジェクトへの出資を求める一種の投資契約で、米国で行われるSAFE(将来株式取得略式契約)という資金調達スキームと類似する手法となる。