クジラ投資家による蓄積が当たり前の時代に
大手機関投資家やクジラ投資家らが、匿名(プライバシー重視の)取引を通じて暗号資産(仮想通貨)ビットコインの大量蓄積を進めている実態が、オンチェーンデータから明らかになってきた。
CryptoQuantのKi CEOの分析によると、過去2年間でCoinJoin(プライバシー保護型取引)の年間平均取引数は3倍に増加。この急増について、一部では盗難資金のロンダリングによるものとの見方もあるが、Chainalysisの報告では今年のハッキングによる損失総額は22億ドルと、ビットコインの実現時価総流入額3,770億ドルのわずか0.5%未満にとどまっている。
2024年には155万BTCが蓄積アドレスに流入しており、その主な送り先はETF、マイクロストラテジー、カストディアルウォレットとなっている。大口投資家たちは新規の機関投資家への資金移動にプライバシー取引を頻繁に利用しているが、開示された保有量以外に約24万から42万BTCの持ち主が依然として不明な状況だ。
画像からも明らかなように、CoinJoin取引の急増は2023年後半から顕著になっており、特に2024年に入ってからは過去最高水準で推移している。この動きは、MVRVチャートにおける「Strong Buy」のシグナルと時期的に一致しており、大口投資家による戦略的な蓄積フェーズを示唆している。
MVRV(Market Value to Realized Value)比率は、ビットコインの時価総額を実現時価総額で割った指標で、価格の過大評価または過小評価を示す重要な指標として知られている。歴史的に、この比率が3.7を超えると価格のピークを示し、1を下回ると価格の底値を示してきた。現在のMVRV比率は1.8付近で推移しており、まだ過熱感は見られない状況にある。
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また、Ki氏はわずか2-3年前までは、クジラ(大口投資家)による蓄積のニュースは市場に大きな衝撃を与えていたが、現在ではそれが日常的な情報として受け止められていると指摘。この変化は、個人投資家が市場から距離を置き、大口投資家が市場を支配している現状を如実に反映していると言える。
Ki氏の分析では、バブル状態をオンチェーンで測定される資金流入額を大きく上回る市場価格と定義している。現在、週間70億ドルの資金が市場に流入する健全な強気相場の段階にあり、バブル的な様相は見られない。
また、大口投資家による蓄積ニュースがもはや市場を動かさない理由として、アナリストたちが過去2年間にわたって強気相場に入ったと主張し続けてきたことが挙げられ、しかし、これは強気相場の終わりを意味するものではないとKi氏は語った。
現在の市場環境下では、30%を超える下落は起こりにくく、仮にそのような調整が発生しても短期的なものにとどまり、その後30%以上の上昇が見込まれる。同氏は、オンチェーンデータを見る限り、このビットコインサイクルのピークはまだ遠いと考えられるとの結論を示した。
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