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イーサリアム(ETH)将来価格・今後の見通し|ETF承認後の最新動向

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イーサリアム(ETH)将来価格・今後の見通し

イーサリアム(ETH)は、スマートコントラクト基盤としてアルトコイン最大の時価総額を誇る暗号資産(仮想通貨)。最も多くのユーザーベースと分散型アプリケーション、巨額のDeFi市場を持つブロックチェーンの一つです。

2024年5月、イーサリアムの現物型ETF(上場投資信託)として9銘柄が米国で承認され、7月に取引が開始されました。そのうちの一つ、米資産運用会社ブラックロックが提供する「iShares Ethereum Trust (ETHA)」の総資産額は9月末時点に、10億ドル(約1,440億円)を突破しています。

ETHAの総資産価値のとイーサリアム価格推移 出典:SoSoValue

2024年1月に上場したビットコインの現物ETFと同様に、これらの金融商品はより幅広い投資家にイーサリアムへの投資方法を提供します。

機関投資家の大口需要により、ETHの市場価格は過去最高値に向けて上昇することが期待されています。

この記事では、イーサリアムの今後と将来価格、そしてETFの影響について、市場アナリストの見解を解説します。さらに、手数料収益に基づいたテック株との比較を通じて、イーサリアムの価値を深掘りしていきます。

目次

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関連:ETH 2030 Price Target and Optimal Portfolio Allocations

イーサリアムETFへの資金流入は?

イーサリアムETFは2024年7月の運用開始から予想を下回るペースでの資金流入となっています。BlackRockのイーサリアムETF(ETHA)は、運用開始から7週間で運用資産残高(AUM)10億ドルを達成したものの、その後は横ばいで推移。

これは同社のビットコンETF(IBIT)が15日で20億ドルを集め、現在では240億ドルまで成長していることと比較すると、明暗が分かれる結果となっています。

全体で見ても、イーサリアムETFは承認された9銘柄合計で約70億ドルの資金を集めているものの、ビットコンETFの累計610億ドルという資金流入額には及びません。ビットコンETFは直近でも1日で3.65億ドルの資金流入を記録するなど、依然として投資家からの強い需要が続いています。

BlackRockのデジタル資産部門責任者であるRobert Mitchnick氏は、この状況について「イーサリアムは投資ストーリーが複雑で、多くの投資家にとって理解が難しい」と分析。一般的なETF商品の成長ペースと比較すれば悪くない出足だとしながらも、ビットコンETFほどの規模は期待できないとの見方を示しています。

今後は機関投資家への教育活動を通じて、イーサリアムの価値提案を丁寧に説明していく方針とのことです。

関連:「イーサリアムの課題は実用性の促進」CoinSharesが分析レポート公開

ETHEからの流出を差し引く

ホーガン氏はまた、グレースケールのETF転換からの流出分を除いた純流入額については、推定値を180億ドル(約2.9兆円)としています。

グレースケールは、「Grayscale Ethereum Trust (ETHE)」をETFに転換する申請を提出しています。ETHEは私募として2017年12月に発売され、現在の運用資産(AUM)は1100億ドル以上です。年間手数料が高いため、ETFへの切り替えが予想されます。

ビットコインETFが1月に取引を開始して以来、グレースケールのビットコイン投信「GBTC」は合計176億ドルの資産が流出しました。これらの資産は現金化されるか、他のビットコインETFに移行したと見なされています。

GrayscaleやAlliumの調査によると、イーサリアムの供給の27%はステーキングによって制限されており、さらにETH供給量の約17%がアイドル状態または様々なスマートコントラクトにロックされています。こうした状況での、イーサリアムETFによる需要増加は、流通供給を引き締める影響が予想されます。

K333リサーチによると、ETF導入後5ヶ月間でイーサリアムの循環供給量の0.7%から1.05%(80万ETHから126万ETH)が買われる可能性があるとしています。これは1億ドル(約479億円)から4.8億ドル(約743億円)に相当します。

関連:「イーサリアム現物ETFには最初の5カ月で最大48億ドルが純流入する可能性」K33分析

有識者のイーサリアム価格予想

これらの資金流入が、イーサリアムの将来価格にどのように影響するかを見ていきましょう。

Bitwiseのマット・ホーガン氏は、イーサリアムETFの発売により、イーサリアムの価格は最高値を更新し、5,000ドル(約78万円)を超えると予想しています。投資信託「ETHE」から資金が流出していく期間を考慮しても、年末までには最高値を更新すると見ています。

ホーガン氏は、ビットコインと比較してETFの資金流入が原資産の価格に大きな影響を与えると述べており、その理由として以下を挙げています。

  • イーサリアムの方が短期のインフレ率が低いこと
  • イーサリアム供給量の28%がステークされ、ロックされていること
  • ビットコインのマイナーとは異なり、イーサリアムのステーカーはイーサリアムを売る必要がないこと

関連:「イーサリアムは現物ETFローンチで5000ドル超える可能性」Bitwise幹部が予想

仮想通貨投資会社MVグローバルのマネージングパートナー、トム・ダンリービー氏も同様の見解を示しており、年末までにETH価格が過去最高値に達すると予測しています。

ダンリービー氏は、イーサリアムのETFが発売後数ヶ月の新規流入を50~100億ドルと見積もっっており、BTCと比較してETHは取引所での流通量が少なく、市場が購入需要に対して敏感に反応すると考えています。

CoinPostポイント解説

ビットコインは、ETF承認を市場が織り込み始めた2023年10月から110%以上、1月の発売からは25%以上上昇しました。イーサリアムの過去最高値は2021年11月に記録した4,878ドルであり、これを更新するには約30%の上昇が必要です。資金流入が予想以上になる可能性がありますが、逆の可能性もあり、価格予測は不確実性に基づいています。

関連:Ethereum ETF inflows could hit $10B, sending ETH to new highs — Analyst

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イーサリアムと米国テック株の比較

MVグローバルのダンリービー氏を始めとする複数の専門家は、イーサリアムのキャッシュフローの安定性や収益性がアマゾンやアップルのようなテック株に近いと指摘。金融アドバイザーが一般投資家に対してイーサリアムを売り込みやすいと考えられています。ここでは、イーサリアムの特性について詳しく解説します。

イーサリアムとは

ビットコインが「ストアオブバリュー(価値の保存)」としてデジタルゴールドの役割を果たしているのに対し、イーサリアムは豊富なアプリケーションとエコシステムを持つ分散型コンピューティング・プラットフォームです。

スマートコントラクト(プログラムコード)を利用して、トークンの交換、融資、ユーザーのデジタルIDの検証など、様々なサービスのオペレーションを担います。VanEckによれば、イーサリアムの現在の経済圏は、アクティブユーザー:月間2000万、決済総額:4兆ドル、ステーブルコイン転送総額:5.5兆ドル(23年5月~24年5月)です。

イーサリアムの成長要因

イーサリアム上で行われるトランザクションやスマートコントラクトの実行によって生成される手数料は、年間ベースで28億ドル(4400億円)に達します。ネットワーク取引手数料(ガス)として使用されるETHは、基本手数料がバーン(破棄され流通から排除)され、優先順位付け手数料(「チップ」)がバリデーターに支払われます。

イーサリアムの取引件数が急増すると、バーンされるETHの数が新規発行の割合を上回り、ETHの総供給量が減少することもあります。しかし、ネットワーク活動がレイヤー2に移行するにつれ、イーサリアムのメインネットにおける手数料収入は減少し、ETH供給量は再び増加に転じる可能性があります。

レイヤー2ネットワークは分散性に劣るため、当面の間、特定の分野でイーサリアムが使用され続ける見込みです。例えば、高い分散性とセキュリティを要し、頻度が低く高額な金融取引が想定されます。多くのRWA(現実資産)のトークン化プロジェクトが展開されており、トークン化された米国債の約70%がイーサリアムのブロックチェーン上にあります(図表5)。

チェーン別、RWA(現実資産)のトークン化比較 出典:Grayscale

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VanEckによる2030年イーサリアムの3つの価格予測

VanEckは将来的に、イーサリアムのユーザーあたりの収益が従来のテック企業を上回り、伝統的な金融市場参加者からの投資先としてビッグテックのシェアを急速に奪うと予想しています。

イーサリアム(34億ドル)はEtsy(2.7億ドル)、Twitch(2.6億ドル)、Roblox(27億ドル)よりも多くの収益を形成。月間アクティブユーザーあたりの収益はアップルミュージック(100ドル)、ネットフリックス(142ドル)、インスタグラム(25ドル)に匹敵する172ドル。出典:VanEck

同社は、2030年のイーサリアム価格予想の基本シナリオで22,000ドルとしています。これは、フリーキャッシュフローが年間660億ドルに拡大するとの試算に基づいており、さらに「FCFターミナル倍率*」を33倍として評価されています。*フリーキャッシュフロー(FCF)を基に企業の最終的な評価額を算出する指標

キャッシュフローとは、イーサリアムネットワーク上で行われるトランザクションやスマートコントラクトの実行によって生成される手数料収入を指します。現状、イーサリアム上で行われるトランザクションやスマートコントラクトによって生成される手数料は、年間28億ドルに達しています。

年間660億ドルのフリーキャッシュフローは、イーサリアムのようなブロックチェーン全体が、既存市場をどれだけ獲得するかに依存します。ターゲットとなる市場は以下の4つです(カッコ内の数字は、VanEckが想定するブロックチェーン全体の市場獲得率)

  • 金融、銀行、決済(FBP):10.9兆ドル(7.5%)
  • マーケティング、広告、ソーシャル・ゲーミング(MASG):1.1兆ドル(20%)
  • インフラストラクチャー(I):1.8兆ドル(10%)
  • 人工知能(AI):1.4兆ドル(5%)

出典:VanEck

VanEckは、これらの市場予測に基づいて、イーサリアムの2030年のスマートコントラクト市場シェアを3つのシナリオに分類し、価格予想を示しています。

  • シェア70%の基本シナリオ:ETHの将来価格22,000ドル(347万円)
  • シェア90%の強気シナリオ:154,000ドル(約2,400万円)
  • シェア15%の弱気シナリオ:360ドル(約56,000円)

CoinPostが統括

VanEckの2030年の予想値であるイーサリアムの価格が22,000ドルに達すれば、現在の価格から487%のリターンに相当します。高度なセキュリティ基盤と、ビッグテックに迫る収益性により、イーサリアムは金融市場参加者から注目されています。今後のETFへの資金流入だけでなく、ブロックチェーン全体の発展動向にも観測していきたい所です。

おすすめイーサリアム取引所の比較表

おすすめ
取引所
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記事の監修

各務 貴仁各務 貴仁
株式会社CoinPost 代表取締役CEO、株式会社SUDACHI Tech 代表取締役、一般社団法人WebX実行委員会 理事。
2017年に日本最大(2024年現在)の暗号資産・Web3メディアCoinPost、2023年よりグローバルカンファレンスWebXを立ち上げる。また、次世代テックを活用した福祉事業Wave3やWeb3に特化した開発支援事業SUDACHI Techも展開する。
2024年には、経済産業省「Web3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証事業」にて有識者委員として選任される。

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