イーサリアムネットワークの品質向上へ
ステーブルコイン「DAI」のDeFi(分散型金融)プロジェクト「MakerDAO」のフォーラム(コミュニティ主導)で、Optimismが開発するレイヤー2ソリューションからの送金速度を向上させる技術が提案された。
現在レイヤー1からレイヤー2へのトークンの送金は、ほぼリアルタイムで完了するが、レイヤー2からレイヤー1への送金にはセキュリティの都合上、約1週間の待機時間が必要な設計となっており、これがOptimismの課題として指摘されている。
今回提案された「Optimism Dai Bridge」は、MakerDAOだけでなく、Optimismの技術を利用するイーサリアム(ETH)ネットワーク全体の品質向上につながるとして注目が集まっている。
Optimismは「Optimistic Rollup」というロールアップ技術のコンセプトに基づき、イーサリアムネットワークのスケーラビリティを向上させるレイヤー2ソリューションの開発に取り組んでいる企業だ。
DeFi(分散型金融)の活況やNFT(非代替性トークン)の人気の高まりなどによって、昨今ではイーサリアムのネットワークが混雑している状態が長らく続く。その状況がネットワーク手数料である「ガス代」の高騰につながるため、スケーラビリティを向上させるレイヤー2ソリューションに対する注目度が一段と高まってきた。
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Optimismの技術は、今年1月にメインネットをソフトローンチしており、まずはDeFiプラットフォーム「Synthetix」に導入されている。現在は全面的なローンチに向けて段階的に開発が進行中だ。
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「Optimism Dai Bridge」の仕組みは、大まかには、DAIの送金を処理する際に、レイヤー1のDAIはロックして、レイヤー2で別の「oDAI」を発行する。レイヤー1のDAIを利用するためにアンロックする際には、oDAIをバーン(焼却)して送金処理を速めるという。
この仕組みは自動マーケットメイカー(Automated Market Maker:AMM)のシステムを活用して、他のトークンの送金にも応用できると説明されている。
「Optimism Dai Bridge」のローンチは間もなく行われる見込みだが、送金速度を上げる機能を利用できるようになるのは、2021年のQ3(7月から9月)かQ4(10月から12月)になる予定。Optimismの開発によってスケージュールが左右される可能性もあるとした。