仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比3.1%高の1BTC=95,910ドルに。
楽観論に傾倒するのは望ましくないものの、現時点で相場がピークアウトしたと結論を下すのは時期尚早だろう。大局的には強気トレンドが継続しており、値幅調整および日柄調整を終えれば、再び上昇の機運が高まるとの見方が強い。
市場の関心事であるトランプ次期政権は“2025年1月20日”の発足を予定しており、財務長官など主要ポストの多くを固めるなど閣僚人事を進めていることを踏まえると、まだ新政権下の相場は始まっておらず、いわゆる“トランプ・トレード”は思惑で動いている状況に過ぎない。
「米国がビットコインを準備資産として戦略的に備蓄する」というトランプ氏の公約は、予測プラットフォームのPolymarket(ポリマーケット)でも十分に織り込まれていない。過剰なリップサービスという懐疑的な見方もあり、マクロ経済の不確実性も踏まえると市場は疑心暗鬼にならざるを得ないからだ。
ゆえに、米政権が実際にビットコイン保有量を増やす判断に至った場合のインパクトは計り知れず中国や欧州など他国が追従するようならポジティブサプライズになり得るし、公約を放棄すればネガティブサプライズとして大幅下落要因となり得るだろう。
トランプ次期大統領の政権移行チームは、ホワイトハウス内に暗号資産関連政策に特化した役職を新設する意向を示しているようだ。その役割には、デジタル資産関連政策に関する助言をはじめ、ビットコイン準備金の設立支援、関係当局との調整が含まれる。
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実際に、政府効率化省(DOGE)」のトップに指名されたイーロン・マスク氏の影響や、暗号資産(仮想通貨)業界への過剰規制で批判を浴びたゲイリー・ゲンスラー米SEC(証券取引委員会)委員長の辞任発表など、民主党から共和党への政権交代に伴い、暗号資産業界への支援材料となり得る政策や規制緩和への思惑は、投資家間で早くも拡大しつつあると言えそうだ。
先物市場の動向
これに先立ち、ビットコインのOI(未決済建玉)が過去最高の700億ドルに達し、デリバティブ市場で新たなピークを記録していた。投機活動の増加を示しており、98,000ドル付近での活発な取引は、市場参加者の強い関心を示すと同時に、大きな価格変動のリスクも示唆している。
イーサリアム先物市場でも注目すべき動向が観察されている。
最新のデータによると、先物取引のOI(未決済建玉)は過去最高の約250億ドルに達した。これは、2024年5月の170.9億ドル、2021年の強気相場時のピークである130.8億ドルを大きく上回る水準だ。
特筆すべきは、ETH価格の動きとOIの相関関係の変化である。2022年には両者が比較的密接に連動して動いていたが、2023年中盤以降、その関係性が変化し始めた。
ETHの市場価格が3,000〜4,000ドル付近で推移する中、OIは独自の上昇軌道を描いており、イーサリアム現物ETFの承認を受け、機関投資家を含む新たな市場参加者の参入が活発化していることが読み取れる。
このような市場構造の変化は、イーサリアム市場の成熟度が増していることを示す一方で、新たなリスク要因の出現も意味しており、過去の相場では、レバレッジの高いポジションの増加が連鎖的なロスカット(強制清算)による急激な価格調整につながった事例も。
過熱するデリバティブ市場のリスクに注意を払う必要がある。
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アルトコイン相場
コインマーケットキャップ時価総額上位の主要アルトコインでは、イーサリアム(ETH)が前日比+8.1%とビットコイン(BTC)の+3.7%をアウトパフォームした。
年初来高値は今年3月の4093ドル、過去最高値は21年11月に記録した4867ドル(73.7万円)。
特に注目されるのが大口投資家(クジラ)の動向だ。11月25日時点での大口取引の流入量は714,430ETHと4週間で最高を記録。一方の流出量は603,040ETHにとどまり、純流入がプラスとなっている。
次にBTC建のETH価格推移を確認すると、イーサリアムは22年9月以来、ビットコインに対して下がり続けている。今年に入ってからはなお顕著であり、機関投資家の資金はイーサリアムよりもビットコインに向いている。
したがって、イーサリアムETFへの資金流入が拡大し、ETH/BTCが底打ち反転(上昇)し始めるのであれば、それは重要なシグナルだ。BTC建てのETH/BTCがトレンドラインの抵抗線を越えるか“0.04BTC”の水平線を上回るようだと、イーサリアムおよび主要アルトへの循環物色が意識される可能性がある。
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