銀行取引停止について実態調査
米国の下院監視・政府改革委員会(監視委員会)のジェームス・カマー委員長は24日、暗号資産(仮想通貨)企業の幹部ら6名に宛てて書簡を提出。業界に対する銀行サービスの制限について実態調査を開始した。
書簡の宛先には、ユニスワップラボのヘイデン・アダムス氏、アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)のマーク・アンドリーセン氏、コインベースのブライアン・アームストロング氏らが含まれる。カマ―委員長は、次のように書いている。
当委員会は、政治的見解や仮想通貨・ブロックチェーンなど特定の業界へ携わることによる、個人・団体に対する不適切な銀行取引の停止を調査している。
委員会は、金融機関から銀行取引停止処分を受けた個人や団体と、その経験や取引停止が事業に及ぼした影響について話し合うことに関心を持っている。
カマ―委員長は調査の背景として、バイデン政権下で仮想通貨企業などの幹部が銀行サービスを停止されたことについて証言した内容を挙げた。
例えば、大手仮想通貨取引所コインベースのブライアン・アームストロング創設者兼CEOは、30人のテック企業創業者が銀行口座を閉鎖されており、米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー前委員長が「違法に業界全体をつぶそうとした」と述べている。
また、ユニスワップラボのヘイデン・アダムス創設者兼CEOは、使っていた銀行が「何の通知も説明もなく私の銀行口座を閉鎖した」「仮想通貨業界で働いているというだけで、同じようにターゲットにされた個人や企業を多く知っている」と話していた。
なお、仮想通貨業界の他には大統領夫人のメラニア・トランプ氏の例も挙げられた。メラニア氏は、政治的理由から銀行サービスを停止されたことがあると証言している。
カマ―委員長は、こうした状況について次のように述べた。
こうした例は衝撃的であり、当委員会は、この銀行口座を奪うという行為が金融機関自身から生じたものか、政府規制当局からの暗黙的または明示的な圧力から生じたものかを調査している。
この件については、下院監視委員会の他にも、議会のいくつかの委員会が動き始めているところだ。
下院金融サービス委員会のフレンチ・ヒル議員も2024年12月、「米国の合法的な企業には、銀行取引と金融サービスを受ける自由があるべきだ」として、資料を調査中であることを公表した。
新政権で変化の兆し
ドナルド・トランプ新政権に交代して、仮想通貨に対する政府の姿勢も変化に向かっている。
トランプ大統領は24日、仮想通貨関連の大統領令に署名。デジタル資産の規制枠組みや、国家デジタル資産備蓄の評価などに取り組む作業部会を設立するとした。
関連:トランプ大統領、仮想通貨の戦略的国家準備金に関する大統領令に署名
また、SECも仮想通貨擁護派として知られるヘスター・パース委員が責任者となる仮想通貨タスクフォースを立ち上げ、明確な規制の策定に取り組む方針だ。
関連:仮想通貨トランプ(TRUMP)は「どこで買える?」買い方・Jupiter等の使い方を解説