ビットコイン相場と金融マーケット
26日の暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインが前日比+3.2%の39,200ドル(426万円)まで続伸。
ビットコインは株式市場のリスクオフやテスラ社のビットコイン決済利用停止、中国の規制強化など悪材料が相次いだことで一時30,000ドル(約330万円)まで下落しており、過去最高値64,900ドル(約710万円)からの最大下落率は-54%に達した。
暴落局面では大規模ロスカットによりパニック相場に。ビットコイン先物のファンディングレート(資金調達率)が大幅マイナスに転じるなど、デリバティブ市場における売り過熱を示していた。
Glassnodeのデータでは、急落の過程で累積アドレスが過去最高値を更新しており、積極的な押し目買いが行われたことを示唆する。
New all-time highs in Accumulation Addresses every day throughout this dip. pic.twitter.com/PeLvAf3BUG
— William Clemente III (@WClementeIII) May 22, 2021
ビットコインの恐怖指数を示す「Fear&Greed Index」は、依然として極端な恐怖(Extreme Fear)を示す「22」にあるが、コロナ・ショック水準の「10」まで急落していた2日前よりは、投資家心理の改善が見受けられる。
クローズドで中央集権的との批判もあるが、ビットコインの環境問題など懐疑的な論調も示したテスラ社のイーロン・マスク氏が前向きな行動を取り始めたこともセンチメントを緩和させたか。
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直近の相場下落要因としては、中国政府の動向も見逃せない。
21日の中国・国務院金融安定発展委員会(金融委員会)にて議論された仮想通貨取引とマイニングの規制強化について、中国共産党の金融トップを担う劉鶴国務院副総理が言及したことで、中国市場の動揺を招いた。
24日には、大手取引所Huobiが、中国国内での新規ユーザー向けデリバティブサービスの一時停止を発表。中国ユーザー向けにマイニングプールHuobi Poolのサービスも停止したほか、25日にはBybitが中国人ユーザーの利用制限を強化する方針を示した。今後、バイナンスやOkEXなどにも影響が波及するおそれもあり、どこまで市場が織り込んでいるかが注目される。
仮想通貨取引が禁じられる中国では、抜け道の一つとして米ドル連動型のステーブルコイン「テザー(USDT)」を経由したOTC(相対)取引などが頻繁に行われているとされ、厳格な資本規制を敷く中国当局から人民元の安定性低下につながる点について問題視されたとの指摘もある。
安価な電気代などからマイニングの集積地として発展してきた中国国内において、大手取引所やマイニング事業者の縮小・撤退が進めば、ハッシュレートの国際化・分散化が進むことが歓迎される一方で、大手マイナーの締め出しはビットコイン業界への影響力を間接的に弱めるのとほぼ同義であるため、中国がこれを手放すかどうかは未知数だ。当面の間は先行き不透明な状況が続く可能性も考えられる。
個別銘柄の動向
急落局面では、高騰していたDeFiセクター崩壊で大きく売り込まれていたイーサリアム(ETH)が、ビットコインの復調に伴い前日比+9.4%と大幅反発。26日までに38.2%戻し水準を上回った。
個別銘柄では、イーサリアムの拡張性問題を解消するレイヤー2ソリューション「Polygon(MATIC)」が前日比+27.3%の2.15ドルまで急騰。仮想通貨暴落前の過去最高値をほぼ奪還する水準(-12.4%)まで回復している。
ドージコイン決済などを導入する米NBA「ダラス・マーベリックス」のオーナーで著名投資家のMark Cuban氏が、Polygon(MATIC)に出資したことが判明した。支持に回った背景として、「NFT市場などのユースケースやアクティブユーザーの指数関数的な拡大」を挙げている。