ディエム協会、事業解体を検討
暗号資産(仮想通貨)ディエム(旧:リブラ)を運営するディエム協会が、保有する資産の売却を検討していることが明らかになった。関係筋の話として大手メディアのブルームバーグが報じた。
資産売却は投資家への還元を行うための方策だ。また、ディエム協会は現在、複数の投資銀行と話し合いを行っている模様で、事業に携わってきたエンジニアたちの再就職先を探し、保有する資産を現金化する道を探っている状況だという。
ディエムは、メタ社が開発を主導した大型ステーブルコイン・プロジェクト。2019年6月に「リブラ」の名称でホワイトペーパーが発表した時は、複数の法定通貨などに裏付けされたステーブルコインとして計画され、賛同企業の多さなどから注目を集めた。
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ただ、金融への影響等を懸念した各国政府や規制当局から懸念の声が続出。これに対応する形で、現在は米ドルのみに担保されたステーブルコインを発行する方針へ変更。名称も「リブラ」から「ディエム」に変更していた。
ステーブルコインとは
価格が安定している(stable)仮想通貨を指す。大きく分類すると3つに分けられ、価値を法定通貨で担保したもの、他の仮想通貨で担保したもの、無担保でアルゴリズムによって価値が調整されるものがある。
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ブルームバーグは、資産売却の検討開始は、規制当局からの圧力が一因であると説明。ディエム最大の発行元になる予定だったシルバーゲート銀行が20年に米連邦準備制度理事会(FRB)と会談した際には、事業許可は保証できないと通達されたことが大きく響いたという。
また、長らくプロジェクトを率いてきたディエムの共同開発者のDavid Marcus氏がメタ社を退任したことも影響したと想定されている。
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なお、現時点では、報じられた資産売却についての正式な発表などは行われていない。
ステーブルコインに関する議論
ステーブルコインやCBDC(中銀デジタル通貨)の在り方については、米国内で活発な議論が継続している。
1月、FRBのジェローム・パウエル議長は適切な規制の下であれば、デジタルドルと民間のステーブルコインが共存できると語った。
バイデン政権の金融市場作業部会(以下、PWG)は21年11月、ステーブルコインに運用の不安定性などのリスクが存在すると指摘。「ステーブルコインの発行者と営利団体の協業を監督する」といった規制が必要になると提言した。
また、証券取引委員会(SEC)も、ステーブルコインの規制を強化する方針であることが21年10月に報じられている。
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なお、22年1月には米国の銀行団体「USDFコンソーシアム」が独自のステーブルコインを発表。テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)とは違い、担保資産が米連邦預金保険公社(FDIC)により保証されている点を売りに、利用の普及を目指している。