iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、運用によって得た利益に対する税金が一切かからずに再投資されるのが特徴です。最長65歳まで掛金を拠出することができ、原則60歳以降に老齢給付金として受け取れます。iDeCoは長期投資を目的としており、効果的に運用するには「長期・積立・分散投資」が重要です。
本記事では、新NISAのつみたて投資枠との違いを知りたい人に向けて「iDeCoの概要や仕組み」「人気商品ランキング」「効果的な運用方法」の3つを解説しています。
1.iDeCo(イデコ)とは
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の略称で、将来の年金受給額を増やすことを目的とした私的年金制度です。そのため、豊かな老後生活をおくるための資金を準備するために、多くの税制優遇が用意されています。拠出した掛金は全額所得控除の対象になるため、仮想通貨で得た利益に対する所得税や住民税を抑えられます。
1-1.iDeCoの仕組み
加入者は自分で設定した掛金を拠出し、運用商品を選びます。運用商品は定期預金や保険商品、投資信託などがあり、選んだ運用商品で掛金を運用し、老後生活に必要な資金を用意します。運用商品は、リスク許容度や目標利回りなどの運用方針をもとに、運営管理機関が選定した中から自由に組み合わせてください。
掛金は65歳まで拠出可能で、iDeCoの年金資産は原則60歳以降に老齢給付金として受け取れます。受け取り方は「一時金」か「年金」、「一時金と年金」から選択可能です。
1-2.iDeCoの掛金と加入対象者
iDeCoは最低5,000円/月から始められ、掛金は1,000円単位で自由に設定できます。掛金は、iDeCoの申し込み時に設定し、その後は年に1回のみ変更可能です。
なお、掛金は職業や加入している年金制度によって上限額(拠出限度額)が設定されています。
拠出限度額と対象者:
被保険者の種類 | 対象者 | 詳細 | 拠出限度額(月額/年額) |
---|---|---|---|
第1号被保険者 | 自営業者 | 6.8万円(年額81.6万円) | |
第2号被保険者 | 会社員、公務員 | 企業年金未加入者 | 2.3万円(年額27.6万円) |
企業型DCのみ加入者 | 2.0万円 (5.5万円−DC事業主掛金額:上限2.0万円) |
||
DBと企業型DC加入者 | 1.2万円 (2.75万円−DC事業主掛金額:上限1.2万円) |
||
DBのみ加入者 | 1.2万円(年額14.4万円) | ||
第3号被保険者 | 専業主婦(夫) | 2.3万円(年額27.6万円) |
加入対象者は、20〜65歳未満の国民年金被保険者です。2022年4月までは、60歳になるまでと定められていましたが、法改正により年齢要件が撤廃されました。これにより、会社員や公務員などで60歳以降も働く国民年金被保険者は、老後資産をさらに積み増せるようになります。一方、自営業者やフリーランス、第3号被保険者は原則60歳までしか国民年金に加入できないため、これまでどおり60歳未満が加入対象です。
1-3.つみたて投資枠との商品ラインナップの違い
iDeCoと新NISAのつみたて投資枠は、ともに個人が自身で資産形成を行うための制度です。
iDeCoの運用商品は、「元本確保商品」と「投資信託」の2つに分けられます。元本確保商品は、原則元本が確保されている「定期預金」や「保険商品」などが提供されています。
投資信託は、投資家から集めたお金を投資のプロが運用し、投資額に応じた利益が分配される仕組みの商品です。投資対象は、「国内株式」や「国内債券」「外国株式」「外国債券」、また、複数を組み合わせたバランス型の商品があります。
投資信託によって投資対象やリスク、リターンなどの運用方針が異なるため、自身に合った商品を選ぶ必要があります。
つみたて投資枠は、少額からの長期・積立・分散投資を支援する非課税制度です。年間120万円の非課税投資枠が設定されており、その中で購入した商品から得た分配金と値上がり後に売却して得た利益は課税されません。
つみたて投資枠における運用商品は、国が定めた低コストや長期積立、分散投資等の基準に適した商品のみです。例えば、販売手数料が0円や信託報酬が一定水準以下であるなどが定められています。
なお、iDeCoとつみたて投資枠の運用商品は、すべての金融機関が同じ商品を取り扱っているわけではなく、金融機関ごとに取り扱い商品が異なります。
豊富な商品ラインナップの金融機関を選択することで、分散投資が可能になり、リスク許容度や運用目標に合った投資が可能です。
2.iDeCo人気商品ランキングTOP5
続いて、SBI証券で公開されている1年のトータルリターンランキング(元本変動型)を参考に、iDeCoの人気商品ランキングを紹介します。直近1年のトータルリターンをもとにした、2023年12月時点のTOP5は以下の通りです。
1位 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
「S&P500(配当込み、円換算ベース)」をベンチマークとし、運用を行っています。業界最低水準の信託報酬率を目指していることから、長期運用に適していると考えられます。組入上位銘柄は、「APPLE INC」「MICROSOFT CORP」「AMAZON.COM INC」「TESLA INC」「ALPHABET INC-CL A」などです。
2位 eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
「TOPIXマザーファンド」を通して国内の株式に投資をし、日本の東証株価指数(TOPIX)(配当込み)の動きに連動する投資成果を目指しています。業界最低水準の運用コストを目指し続けている点が長期運用に向いているでしょう。
3位 ニッセイ外国株式インデックスファンド<購入・換金手数料なし>
日本以外の主要先進国に投資し、MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)の動きに連動する投資成果を目指しています。相対的に信託報酬が低いため、長期運用に適しているでしょう。さらに、購入時および換金時の手数料は無料です。
4位 Emaxis Slim 先進国株式インデックス
3位のニッセイ外国株式インデックスファンドと類似しており、日本を除く主要先進国の株式に投資することでMSCIコクサイ・インデックスに連動する成果を目指しているファンドです。業界最低水準の運用コストを目指し続けるという方針が特徴的と言えるでしょう。
5位 ニッセイ日経平均インデックスファンド<購入・換金手数料なし>
「ニッセイ日経225インデックスマザーファンド」を通して、国内の金融商品取引所上場株式に投資をしています。配当込みの日経平均株価(日経225)の動きに連動する投資成果を目標に運用しており、同指数の200以上の銘柄に等株数投資を行います。
人気商品の比較表
人気商品の上位には、国内外の株式に投資するファンドが並びました。特に1位・3位・4位の信託報酬は業界において低水準であり、長期運用が主な目的であるiDeCoに適しているファンドといえるでしょう。
ランキング | ファンド名 | 信託報酬率/年 | 委託会社 |
---|---|---|---|
1位 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.09372%以内 | 三菱UFJ国際 |
2位 | eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 0.143%以内 | 三菱UFJ国際 |
3位 | ニッセイ外国株式インデックスファンド | 0.09889%以内 | ニッセイアセットマネジメント |
4位 | Emaxis Slim 先進国株式インデックス | 0.09889%以内 | 三菱UFJアセットマネジメント |
5位 | ニッセイ日経平均インデックスファンド | 0.143%以内 | ニッセイアセットマネジメント |
出典:SBI証券
SBI証券のiDeCoを選ぶ3つの理由
- 安心の実績: 15年以上の運営実績と加入者数No.1(2023年5月時点、SBI証券調べ)
- 手数料無料: 運営管理手数料と口座開設手数料が0円(国民年金基金連合会等への手数料は別途)
- 多様な商品ラインナップ: 低コストインデックスからアクティブファンドまで対応
3.iDeCoの効果的な運用方法
iDeCoに投資する上で効果的な運用をするには、「長期・積立・分散投資」でリスクの軽減を図りながら、資産運用に取り組めるかがポイントです。
3-1.長期投資
iDeCoの効果的な運用方法は、長期投資を重視することです。拠出金は長期間運用するほど複利効果を享受でき、安定したリターンを得られる可能性が高まります。
複利とは、運用で収益を元本に組み込み再投資することです。複利では、元本+収益の合計額に利息が付くため、長期間投資を続けることで複利効果の恩恵を受けられます。一方、単利は利息を毎回受け取るため、翌年以降も当初の元本に対して利息が計算されます。
例えば、元本100万円を毎年1%の複利で運用したとしましょう。単利の場合、はじめの元本100万円に毎年1%の運用収益が発生します。一方、複利は発生した収益が翌年の元本に組み込まれて運用されるため、運用期間が長くなるほど収益が大きくなります。
年数 | 複利 | 単利 | ||
---|---|---|---|---|
元本 | 収益 | 元本 | 収益 | |
1年目 | 100万円 | 1万円 | 100万円 | 1万円 |
2年目 | 101万円 | 1万100円 | 100万円 | 1万円 |
3年目 | 102万100円 | 1万201円 | 100万円 | 1万円 |
以下の表は、毎月1.2万円を複利3%で積み立てた際の収益を示しています。積立期間が5年の場合、収益率は7.78%になりますが、10年に延長すると収益率は16.46%に上昇します。このように、複利運用の場合、運用期間が長くなるほど収益率は増加する傾向にあります。
積立期間 | 元本 | 運用収益 | 収益率 |
---|---|---|---|
3年 | 43.2万円 | 1.9万円 | 4.40% |
5年 | 72.0万円 | 5.6万円 | 7.78% |
10年 | 144.0万円 | 23.7万円 | 16.46% |
15年 | 216.0万円 | 56.4万円 | 26.11% |
20年 | 288.0万円 | 106.0万円 | 36.81% |
また、長期運用する上で、信託報酬の金額についても注目しましょう。信託報酬とは、投資信託を運用・管理してくれる金融機関に支払う経費のことです。信託報酬は、その投資信託を保有している間は支払い続ける必要があるため、信託報酬が小さくなるほど収益を最大化することが可能となります。
3-2.積立投資
積立投資とは「定期的に一定額を投資する」ことで、ドルコスト平均法を活用した投資手法の一つです。市場の価格に関係なく一定額を投資し続けるため、価格が高いときには少ない株式や投資信託を購入し、価格が低いときには多くの株式や投資信託を購入します。
- 価格が高いとき……少ない株式や投資信託を購入
- 価格が低いとき……多くの株式や投資信託を購入
積立投資には「平均取得単価を下げる」効果があり、価格変動のリスクを緩和しつつ、長期的な視点での投資を可能にします。
3-3.分散投資
分散投資とは投資先をひとつに集中させずに、複数の資産に分散して運用する手法です。
例えば、定期預金や保険商品、国内株式、国内債券など複数の資産に投資することが考えられます。分散投資を行うことで、一部の投資対象が不調でも、ほかの投資対象でカバーすることが可能となり、全体のリスクを抑えられるでしょう。
iDeCoは定期預金や保険商品、投資信託など20本程度の運用商品から、自身のリスクに応じた市場の変動に強いポートフォリオを作成することができるため、長期的な資産形成に役立ちます。
4.iDeCoで仮想通貨の利益を最大化
本記事は、iDeCoを活用し、仮想通貨の取引で得た利益にかかる所得税や住民税を抑えつつ、老後の資産形成を行う方法を解説しました。
iDeCoは拠出した掛金全額が所得控除の対象になるため、本来支払うべき仮想通貨の利益やほかの所得にかかる所得税や住民税を軽減することが可能です。
さらに、通常運用益には源泉分離課税20.315%がかかりますが、iDeCoは非課税で再投資されます。実際に受け取る際には、年金方式か一時金方式で受け取れます。年金方式の場合には「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」が受けられるため、課税額を抑えられます。
iDeCoは所得税や住民税を最小化できるだけでなく、豊かな老後生活をおくるための資金を準備できる税制優遇が多く用意されているのが人気の理由と言えるでしょう。
SBI証券のiDeCoを選ぶ3つの理由
- 安心の実績: 15年以上の運営実績と加入者数No.1(2023年5月時点、SBI証券調べ)
- 手数料無料: 運営管理手数料と口座開設手数料が0円(国民年金基金連合会等への手数料は別途)
- 多様な商品ラインナップ: 低コストインデックスからアクティブファンドまで対応
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