ステーブルコインUSDCの拡大に
分散型オラクルネットワークであるChainlinkは16日、Circle社の「クロスチェーン転送プロトコル(CCTP)」を自社の「クロスチェーン相互運用性システム(CCIP)」に統合したことを発表した。
この統合により、Chainlinkのブロックチェーン開発者エコシステムは、CCIPとCCTPを用いて、異なるブロックチェーン間でのステーブルコインUSDCのシームレスな転送を可能にするアプリケーションの開発が可能になる。
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決済やクロスチェーン転送、さらにはDeFiインタラクションにおけるUSDCの使用範囲を拡大する動きとなる。
ChainlinkのCCIPとCircleのCCTPはどちらもクロスチェーンの活用ソリューションを提供しているが、その用途は異なる。CCIPは、Chainlinkのセキュリティインフラストラクチャに支えられ、クロスチェーン操作における異常なアクティビティを監視し、検証する役割を担っている。
Chainlinkは、9兆ドル以上のトランザクション価値を参照する基盤として機能する、業界を代表するオラクルネットワーク。リアルワールド資産(RWA)やオフチェーンデータの配信、さらには異なるブロックチェーン間での安全なクロスチェーンメッセージング機能も備える。Chainlinkは銀行、分散型金融(DeFi)、国際取引、ゲーム業界など多岐にわたって、アプリケーションと市場の基盤を支えている。
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米Circleの動向
一方、CircleのCCTPは標準化されたブリッジ・プロトコルであり、ユーザーはサポートされているチェーン間でステーブルコインをバーン&発行することによって、USDCの転送処理を行う。CCTPは現在、Arbitrum、Avalanche、Base、Ethereum、Noble、OP Mainnet、Polygon PoSの7つのネットワークで利用可能だ。
Celer Network、Li.Fi、Wormholeなど、相互運用性に重点を置くブリッジプロトコルもCircleのCCTPを統合しており、Chainlinkはそのラインナップに加わった。
米Circle社は、USDCの発行者であり、その流通額は250億ドル(約3.68兆円)にのぼり、市場シェアでテザー(USDT)に次ぐ第2位を占める。Circleは最近、SEC(米証券取引委員会)に初のIPO書類を提出した。2021年にSPACを通じた上場を目指したが、期限内に取引を完了できず中止となっていた。2022年2月時点でのCircle社の評価額は90億ドルだった。
Circleの最新レポートによれば、USDC取引量がアジア太平洋地域で顕著に増加している。この地域の取引量は、北米(19%増)や西ヨーロッパなど他の主要地域を上回る成長を遂げた。特にフィリピン、インド、シンガポール、香港、マレーシア、タイといったアジア諸国では、送金需要がこの増加の主な原動力となっている。
また、シンガポール、日本、香港では、外国発行のステーブルコインに対する規制枠組みの整備が進む。この動向を背景に、Circleはアジア市場でのビジネス展開の強化を計画している。
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