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アービトラムがWeb3ゲーム市場で存在感を高める理由

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

暗号資産(仮想通貨)イーサリアムのトランザクション速度の遅延と高額なガス料金が課題となっています。これらの課題を解決するレイヤー2ソリューションにアービトラムがあります。Web3ゲームに関してもトランザクション速度の解決が課題となっていて、レイヤー2ソリューションやレイヤー3ソリューションが今後の解決手段となるかもしれません。

アービトラムは現在、レイヤー2ソリューションのマーケットシェアでトップシェアを誇っています。さらに、Web3ゲーム開発のための優れたプラットフォームとして注目されています。アービトラムに関する詳細な解説は下記の記事をご覧ください。

関連:初心者でも分かるアービトラム:次世代スケーリングソリューション

本記事では、Web3ゲームの現状からアービトラムが現在進めている大規模投資プログラム「Gaming Catalyst Program」の詳細と、開発者がアービトラムを選ぶ理由を詳しく解説します。

公式X(旧Twitter)https://x.com/Arbitrum_jpn

目次

  1. なぜゲームをWeb3化するのか、その重要性と今後
  2. ゲーム業界で存在感を高めるアービトラム
  3. アービトラムで構築されたWeb3ゲーム
  4. 開発者に対するアービトラムの利点
  5. 総括

なぜゲームをWeb3化するのか、その重要性と今後

暗号資産リサーチ会社のDelphi Digitalが発表したWeb3ゲーム業界に関する2024年の予測レポートでは、大手ゲーム会社のWeb3市場への関心の高まりや活発なインフラ開発など今年のゲーム業界にとって高い期待が持てるとの見解を示しました。

Web3へ進出する国内の大手ゲーム会社にはスクウェア・エニックス社の「シンビオ・ジェネシス」やUbisoft Labs社の「Captain Laserhawk」などがあり、大手ゲーム会社のWeb3ゲーム産業への進出が増加しています。

市場データサイトCoinGeckoの分析に基づくと、大手ゲーム会社のWeb3関与として時価総額上位40のゲーム会社の中で、72.5%に当たる29社がWeb3領域の事業を模索していることが判明しました。このリストには、バンダイナムコ、コナミ、スクウェア・エニックスなどが名を連ねています。

さらに、全体として12以上のプロジェクトが世界トップクラスのテック企業から支援を受けています。日本企業としてはソニーがWeb3インキュベーターのStartale Labsへ出資しています。2024年8月現在CoinGeckoが発表するGameFiの時価総額は133.9億ドルです。

関連:2024年のWeb3ゲーム業界に大きな期待感=Delphi Digitalレポート

関連:世界のゲーム企業トップ40社のうち、29社がWeb3分野を模索

新しいマネタイズ手段

Web3ゲーム(ブロックチェーン技術を基盤にしたゲーム)はゲーム会社にとって新しいマネタイズ手段となります。

従来のゲームにおける収益では

  • ソフトやアプリの販売
  • 広告収入(動画リワードやプレイアブル広告)
  • サブスクリクション
  • ゲーム内課金

Web3ゲームではさらに

マーケットプレイスでの取引手数料でマネタイズすることが可能です。Web3では魅力的なNFTを作成することでユーザーの所有欲を満たし、顧客維持につながります。マネタイズ以外にも顧客獲得に大きな利点があります。

  • エアドロップ
  • Play to Earn

従来は広告に膨大な資金をかけてユーザー獲得を行ってきました。Web3ゲームではエアドロップによってユーザー獲得を行うことが可能です。エアドロップは広告と比較し、非常に少額で実施することができます。次に、ゲーム内容への興味以外に「Play to Earn」によりユーザーのニーズを満たすことも可能です。ゲーム内容に関係なくお金を稼ぎたいからゲームを始めるユーザーも多く存在します。

Web3でゲームを開発することでマネタイズ以外にも顧客獲得によるメリットが存在します。

デジタル商品を保有し、取引することによる顧客維持

デジタル商品を保有することはユーザーの所有欲とコレクション欲求を満たします。Sensor Towerが発表したレポートによると、世界モバイルアプリ市場は全体的に安定傾向にあり収益は767億ドルに達しています。さらに、2028年には1000億ドルを突破することが予想されています。モバイルアプリは課金による収益が多くを占めています。

課金によってアイテムを獲得するビジネスモデルは非代替性資産(NFT)によって所有を恒久的なものにすることが可能です。所有された資産の価値は高くマーケットプレイスで高額で取引されることもあります。デジタル商品を保有し取引することがユーザーを惹きつけ、顧客維持に繋がります。

ゲーム業界で存在感を高めるアービトラム

大規模なゲーミング業界への投資「Gaming Catalyst Program」

主な概要

アービトラム財団のリソースを使用してゲームエコシステムに資金を提供する提案が2024年6月7日に承認されました。アービトラム財団はアービトラムのゲーミングエコシステムを強化するため、2億2500万ARBトークン(2024年8月15日時点で1億2500万ドル相当)を「Gaming Catalyst Program(GCP)」と呼ばれるプロジェクトを通してゲームスタジオ(2億ARB)、運営費(2500万ARB、制限を超過する場合DAOの承認が必要)へ割り当てます。資金の一部はスタジオやゲーム会社に共同投資されます。本プロジェクトの主な目的は以下になります。

GCPの目的

ゲーム開発者の迅速な成長のため
アービトラムネットワーク上での開発に意欲的な開発者にサポートとリソースを提供することを目的にしています。資金、メンターシップ、開発プロセスを迅速化するためのその他支援へアクセスできるようにする。

保有リソースの戦略的な割り当て
Web3ゲーム業界の専門家と有望なプロジェクトに焦点を当ててプログラムの効果を最大化し、リソースが効率的かつ効果的に使用されるようにする。

優秀な人材を惹きつけること
サポートとインセンティブを提供し、ゲーム開発にとって魅力的なプラットフォームとしての地位を確立する。これによって、高品質なプロダクトやゲーム体験を生み出せるようになる。

魅力的で高品質なゲームの開発
委託されたベンチャーチームと専門家によって構成される評議会が各プロダクトの品質管理をし、優秀な人材が全面的なサポートを受けて高品質なゲームが作られるようになる。

ユースケースの拡大
ゲーム開発のサポートによってアービトラムエコシステムを多様化し、より幅広いユーザーや開発者にアピールをすることが可能。結果、アービトラム・オービットやスタイラスの採用が増加している。

期待される成果

GCPの期待される効果はアービトラムガバナンスフォーラム上で次のように記されています。

「プログラム期間内にアービトラムをオンチェーンゲームの事実上のリーダーとして確立する」

  • 200〜300件の申請
  • Web3ゲームの20%以上がアービトラムをネットワークとして選択
  • その他レイヤー2と比較し、アービトラムへの移行を有利に
  • 25以上のアービトラム・オービットをラウンチ

GCPによる資金調達のガイドライン

ゲームパブリッシャー(ゲームの発売元)が資金調達を受けるための情報を以下にまとめます。

    承認されたパブリッシャーとしてホワイトリストに登録されるためには、パブリッシャー申請テンプレートに基づいてアービトラムDAOフォーラムで公開提案を実施する必要があります。
  • パブリッシャーとしての実績
  • チームの背景と構成
  • 過去の成功事例とポートフォリオ
  • アービトラムエコシステムへの期待される貢献度
  • アービトラムネットワーク上での成長計画
  • ホワイトリストに登録されると、パブリッシャーは助成金の検討のためにGCPベンチャーチームに取引を持ち込むことが可能

50万ドル未満の助成金に関しては、商業契約を結ぶ必要なくベンチャーチームの助成金配分者に連絡して助成金の調達を迅速に行うことができます。

50万ドルを超える助成金やGCP評議会によってフラグが付けられた助成金の場合、商業契約価値の分配に同意する必要があります。(パブリッシャーは取引全体の最低10%の資本拠出を割り当てる必要あり)

アービトラムで構築されたWeb3ゲーム

Captain Laserhawk

アービトラム財団とシーケンスは仏大手ゲーム会社Ubisoft Labsと提携し、Web3ゲーム「キャプテン・レーザーホーク:ザ・ゲーム」を開発しています。ユービーアイソフトがNetflix向けに制作した「キャプテン・レーザーホーク:ブラッド・ドラゴン・リミックス」シリーズの世界観を拡大した本新作は「アサシンクリード」、「レイマン」、「ビヨンド・グッド・アンド・イービル」などの有名フランチャイズの象徴となるキャラクターが登場します。ゲームの基本的な機能やシステムがアービトラム上に構築されます。

主なゲーム内容はオンラインシューティングゲームになると発表されています。ゲーム内容に関する詳細な情報は現時点で公表はされていません。本ゲームでは、NFTである国民IDカードが発行されます。このNFTの目的は

  • すべてのエデンにおける体験とプライベートコミュニティチャンネルへのアクセス
  • エデン内の統治権を得ることができる
  • IDにシーズンごとのランキング順位から獲得した独自の成果や賞賛などあらゆる記録が保存される

市民IDカードはリリース前にアクセスしてゲームをプレイするためのライセンス、投票に必要な市民権の証明として機能します。早期アクセスをしてプレイする資格で市民IDカードの所有によって決まります。Eden Onlineの市民権の定員は10,000名に制限されています。

The Land Before the War

ヴァレリアゲームズは、リアルタイムストラテジーゲーム「The Land Before the War」のリリースに向けてXai Gamesと提携しています。Xai Gamesは、アービトラム・オービットを活用したレイヤー3スケーリングネットワーク(レイヤー2上に構築された追加のレイヤー)です。Xaiを使用すると暗号通貨ウォレットを使用せずにNFTを所有及び取引できます。

「The Land Before the War」は物理カードにQRコードを付け、それをスキャンしてデジタル版をNFTとして交換できます。プレイヤーはヴァレリアンを召喚、訓練、進化させ、PvPマッチやクエスト、ダンジョン、サバイバルモード、トーナメントなどで戦わせることができます。iOS及びAndroidでリリース予定です。

パイレーツ・ネーション

「パイレーツ・ネイション」は、コミュニティと共にオープン開発される完全オンチェーンの海賊テーマRPGです。発行しているPirate Nation Tokenの時価総額は4220万ドル(2024年8月20日時点)です。ネットワークは高速性と効率性のために最適化されたアービトラム・ノヴァを採用。ゲームのロジックからアイテムまで全てがオンチェーン上で行われるため、透明性と検証可能性が確保されています。プレイヤーは日々のクエストでリソースを集め、アイテムを作り他のプレイヤーと自由に取引が可能です。Proof of Playチームがゲームのガス代を全て負担しており、ブロックチェーンの経験がなくても簡単にプレイできます。

開発者に対するアービトラムの利点

Web3でゲームを開発することの利点は何か?その答えは

    1. ゲーム内アイテムを取引できること
    2. コレクション性
    3. NFT(非代替性トークン)マーケットプレイスの形成
    4. ゲーム内コミュニティからユーザーにインセンティブを与える

以上の4項目でユーザーのゲームへの参加を促進することが可能です。

Web3ゲームを開発する上でアービトラムを選択する6つのメリット

Web3ゲームを開発することのメリットがわかりました。次にWeb3ゲーム開発で数多あるネットワークやフレームワーク、開発ツールの中でどれを選択すると良いか迷う方も多いと思います。そこで、アービトラムを採用することのメリットを6点紹介します。

    1. 低コストで開発・運用可能
      ガス代(取引手数料)が安いため、開発・運用においてコストを削減することができます。これにより開発者は品質向上や新機能の追加などに多くのリソースを割くことが可能です。
    2. スケーラビリティに優れている
      アービトラムネットワークはスケーラビリティに優れているため大規模なWeb3ゲームを開発することが可能です。トランザクション速度が速いため安定したパフォーマンスを発揮することができます。
    3. イーサリアム互換性
      アービトラムネットワークはイーサリアムとの互換性があります。既存のスマートコントラクトやツールを活用したり、イーサリアムからのマイグレーション(環境移行)が可能です。移行や開発に割くリソースを削減することができます。
    4. 開発言語の選択肢が豊富
      最新のプロダクトであるアービトラム・スタイラス(Arbitrum Stylus)でWASM実行が可能です。これによってC++などゲーム開発で非常に人気のある言語でスマートコントラクト開発をすることが可能です。慣れた言語での開発ができるので今後Web3ゲームに参入するスタジオでも参入障壁を減らすことが可能です。
    5. 高いセキュリティと信頼性
      イーサリアムのセキュリティを継承しているためアービトラムネットワークは高いセキュリティを保有しています。セキュリティ対策に割くリソースを削減し安心なサービスを提供することが可能です。
    6. アービトラムの巨大なエコシステム
      アービトラムエコシステムはレイヤー2においてトップシェアを誇っています。DeFiやNFTなどの様々な機能をWeb3ゲームに取り入れることが可能です。さらに、GCPによるサポートを受けゲーム開発者がシステムを構築して市場に投入するまでのギャップを埋めることができます。

以上の6点でWeb3ゲーム開発においてアービトラムを採用することによって開発効率を大幅に向上させ、リソースの最適化を図ることが可能です。

アービトラムは、その高速性、低コスト、セキュリティ、そして豊富な開発ツールによって、Web3ゲーム開発者にとって魅力的なプラットフォームとなっています。特に、アービトラム・スタイラスの導入により、C++などの従来のゲーム開発言語を使用できる点は、多くの開発者から高い評価を得ています。

総括

ここまで、アービトラムのゲーミングエコシステムをさらに強化するプロジェクト「Gaming Catalyst Program」を中心にGameFi市場やアービトラムで構築されたWeb3ゲームの紹介となぜアービトラムが選択されているのかその訳をお伝えしてきました。

まとめると、

  • Web3ゲーム市場規模は拡大中で、大手ゲーム会社の参入が増加している
  • ゲーミングエコシステムへの大規模な投資
  • アービトラムがWeb3ゲーム開発に適している

「Gaming Catalyst Program」を通じて2億2500万ARBを割り当てるなどWeb3ゲームに対して大規模な投資を実施するアービトラムは今後もゲーミング市場で更なるポジションを確立していくことが予想されます。

アービトラムでのWeb3ゲーム開発に興味のある方は、アービトラムの公式ドキュメンテーションや開発者向けリソースを確認することをおすすめします。アービトラムは、次世代のゲーム開発プラットフォームとして、今後更なる成長が期待されています。

アービトラムは、WebX2024のブース出展を予定しており、注目が集まっています。ぜひ足を運んでみて下さい。

公式X(旧Twitter)https://x.com/Arbitrum_jpn

関連:WebX2024 全体マップ、チケット種別の注目エリアと豪華ステージを紹介

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