要請を独自に調査
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは、対象のパレスチナ人の仮想通貨ウォレットを凍結して欲しいというイスラエル軍の要請に対し、独自の調査に基づいて86%を凍結しなかったことがわかった。
バイナンスは1つの情報源やツールだけに依存することはなく、イスラエル軍の要請にも盲目的に応えることはないと、同社の金融調査部門のトップを務めるNils Andersen Röed氏が理由を説明している。
イスラエルやパレスチナが関係する中東情勢は現在、多くの投資家が注視している。最近では特に、中東情勢の先行きに対する懸念が仮想通貨相場の重しになっているとの見方が多い。
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今回の内容は、Röed氏に取材した「Decrypt」が5日に報じた。Decryptは記事だけでなく、同日にインタビュー動画も公開している。
また、Decryptは1日、バイナンスの Richard Teng CEOにインタビューした動画も公開。この時にTeng氏も「パレスチナ人の1,500超のウォレットを凍結するようにイスラエル軍から要請があったが、凍結した数は約220ウォレットで、全体の14%だった」と明かしていた。
同氏は「国際法に基づき、違法な取引に関与したとバイナンスが判断したウォレットが全体の14%だった」と述べている。
この点についてRöed氏は今回のインタビューで、イスラエル政府と並行して自身のチームが独立して調査をしたと説明。そして、この認識の違いについては、バイナンスは慈善活動に関連している可能性があると判断したウォレットに対し、イスラエル軍がテロ資金供与に関与している可能性があると主張するような事例があると述べた。
Röed氏は、中東のように注意が必要な地域の調査には、バイナンスは追加でリソースを割いているとも説明している。
規制遵守を強化
Teng氏は今年8月、大型Web3カンファレンス「WebX」でバイナンスジャパンの千野代表と対談を行った。この時、バイナンスはユーザーファーストの姿勢を維持しつつ、規制遵守の強化を進めてきたとTeng氏は強調している。
また、バイナンスは過去一年間でコンプライアンスチームへの投資を大幅に増やし、ユーザー資産の保護を最優先事項としていると述べ、24億ドル(3,550億円)相当の資産流出を事前に防止した事例もあると話した。
さらに、2024年末までに従業員を大幅に増員する計画の一環として、コンプライアンスチームを現在の500人から700人に拡大し、各地域での規制対応を強化していくとも述べている。
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