地裁の判決に異議
リップル社は24日、米証券取引委員会(SEC)との間の裁判で、弁論前陳述書を提出した。地方裁判所の以前の判決に異議を唱える具体的な論点を説明している。
リップル社のスチュアート・アルデロティ最高法務責任者は、次のように述べた。
Today, Ripple filed a Form C – listing the issues we plan to raise on our cross appeal. A few things to keep in mind as we move forward:
— Stuart Alderoty (@s_alderoty) October 25, 2024
The case is not about whether XRP, in and of itself, is a security. XRP is uniquely situated as having clarity (alongside BTC) in not being… https://t.co/AmFocAnbPx
この訴訟は、暗号資産(仮想通貨)XRP自体が証券であるかどうかに関するものではない。XRPは、証券として分類されないという明確な立場を持つ。
控訴裁判所は、すでに提出された記録を審査する。私たちの提出した記録に問題はない。SECは新しい証拠を提出することも、私たちにさらなる証拠の提出を求めることもできない。
地裁は、XRPそれ自体は証券ではないとの見解を示しており、SECはこの点については上訴していないと指摘する格好だ。また、その点は「法律として確立している」とも再び述べた。
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具体的な4つの論点
リップル社は、ハウィーテストの適用、公正な通知の抗弁、投資契約の定義、裁判所の差し止め命令の具体性という4つの論点を挙げている。
まず、地裁がハウィーテストを適用した方法に異議を唱えた。地裁はXRPの機関投資家向け販売について、リップル社の努力のみから利益が得られるという合理的な期待を伴う「共通事業への投資」だったと判断。ハウィーテストによる証券性が見出されるとしていた。
これに対してリップル社は、投資家の利益が同社の努力だけでは保証されないような分散型市場でXRPトークンが運用されていたため、これには当てはまらないと反論している。
ハウィーテストとは
米国で行われる特定の取引が、投資契約による有価証券取引に該当するかどうかを判定するテスト。SECのW. J. ハウィー社に対する訴訟事件(1946年)に由来する。
法的拘束力はないが、SECはハウィーテストをもとに仮想通貨の銘柄やサービスに対して訴訟を起こしている。具体的には「資金を集めているか」「共同事業であるか」「収益を期待しているか」「収益が他者の努力によるか」を判定するテスト。なお、仮想通貨という新しい資産に、ハウィーテストは適さないという声もある。
▶️仮想通貨用語集
次に、事前に当局から「公正な通知」があったかも問題としている。SECが仮想通貨に関する明確なガイダンスを提供していなかったため、リップル社も従うべきルールが不確かであり、規制違反を避ける機会を奪われたと主張する格好だ。
仮想通貨規制についてSECは、様々な企業や議員などから、明確なルールを提供しないまま恣意的に取り締まりを行っていると批判されてきた。
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また、投資契約の定義に関してリップル社は、ある取引を「投資契約」とみなすためには、販売者に販売後義務が課されたり、購入者が販売者の活動から利益を得る権利を得るなどの状況が存在する必要があると主張。こうした要素は、リップル社によるXRP販売には欠けていたと申し立てている。
その他に、裁判所はリップル社への差し止め命令で「法律に従う」よう要求しているが、この文言は曖昧で具体性がないとも指摘した。
最近、ビットワイズとカナリー・キャピタルがXRP現物ETFの申請書をSECに提出しており、その実現可能性が注目されている。ただ、SECとの裁判はこれから控訴裁判所で続くため、すぐに承認される可能性は低いのではないかとみられている。
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