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なぜ今、ミームコインが注目されるのか?=バイナンスレポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

金融ニヒリズムの高まり

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスの研究部門バイナンス・リサーチは4日、「ミームコインの台頭を理解する」と題した最新のレポートを公開。ミームコインが興隆した合理的な根拠を提示し、その特徴と注目される理由について考察した。

レポートによると、2022年以降、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)、およびステーブルコインを除外した仮想通貨市場(Total 3と呼ばれる)におけるミームコインの合計時価総額は、2024年現在、4%から11%と、ほぼ3倍に増加した。

ミームコインという「前衛的な資産クラス」に、これほど大きな関心が寄せられるようになった一つの要因として、バイナンス・リサーチは、若年層で「ある種の金融ニヒリズムが高まっている可能性」を指摘した。

2020年から2022年の間、世界のマネーサプライ総額は81兆ドルから102兆ドルへと25%以上、拡大した。米国ではインフレが前年比7%と高水準に達する中、通貨インフレヘッジとして、不動産のような長期的な価値ある資産への投資が加速し、米国の平均的な労働者にとってマイホームを手にいれる夢はますます遠のいていく。

ミームコインは、キャッシュフローなどの「従来の評価基準」ではなく、物語的および文化的な理由に基づいた「象徴的な価値」によって、若い投資家の共感を呼んでいると、バイナンス・リサーチは指摘する。

2021年にGamestop株で発生したショートスクイズ事例は、「金融資産がコミュニティおよび文化的活動を生み出す能力」を象徴しており、ミームコインでも同様の現象を促進する可能性があるとレポートは説明。以下のように総括した。

ゲームストップ現象、そして現在私たちが目にしているミームコインの台頭は、公的に取引可能な市場を投票メカニズムとして利用した、初期かつ原始的な事例と見なすことができる。
参加者は資本によって、既存の伝統的金融、法定通貨、そしてより広範な社会経済システムに反対票を投じている。

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ミームコインの価値とは

バイナンス・リサーチは、「インターネット文化に合致し、従来の金融システムから完全に切り離された、まったく新しいタイプの資産を提供する可能性」をミームコインの価値の一面として挙げている。

ミームコインへの投資は、2017年のイニシャル・コイン・オファリング (ICO) ブームで、一般投資家が初めて「誰もが平等に投資できる可能性」を手に入れた事例と類似しているとレポートは指摘する。

ICOブームでは中身のない詐欺的なプロジェクトも多く、規制当局からトークンの証券性も問題視されたことから、仮想通貨プロジェクトの資金調達方法は、公的にアクセス可能なICOではなく、VCによるプライベートな資金調達ラウンドへと移っていった。

一方、VCが支援するアルトコインと比べると、ミームコインは、一般投資家にとって投資機会の公平性があると認識されている。また、キャッチーなミーム主導のコインは、アルトコインの技術的なソリューション云々よりも、一般消費者の興味を引きやすい特徴がある。

そのため、ミームコインの物語は潜在的な購入者に広がりやすく、コミュニティ構築と投機の促進が、アルトコインよりも迅速に進行。ミームコインへの資本流入速度も加速した。

2013年に誕生したDOGEは、時価総額が10億ドル(約1,540億円)に到達するまで8年かかったが、SHIBは279日、WIFは104日でその域に達したという。

ミームコインの投資リスク

しかし、ミームコイン投資は多くのリスクを伴うため、レポートは次の三点を考慮すべき点として挙げた。

  • 生存率の低さ=プロジェクトが消滅する可能性が高い:ミームコインの97%は取引量がゼロ
  • 一般トレーダーの搾取:組織化された「パンプ アンド ダンプ」スキームなど、一般投資家を搾取するプロジェクトが後を絶たない
  • 技術の進歩と革新の欠如:成功したミームコインのテーマや物語が模倣されただけの類似トークンの発行は、市場飽和につながる

パンプ・アンド・ダンプとは

株式などについて虚偽の情報などで意図的に価格を吊り上げ、株価が上昇したところで、その株式や資産を売り抜ける行為。

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ミームコインから学ぶもの

レポートでは、技術主導のアルトコインを「トークン化されたオンチェーン ソフトウェア ビジネス」、ミームコインを「トークン化されたアイデアや物語」と形容している。

ミームコインの台頭は、「公平にローンチされ、初期からすべての参加者がアクセスできるコイン」に対する、一般投資家からの需要の大きさを表しているとバイナンス・リサーチは指摘。このような形式で発行されたミームコインが絶大な人気を博し、数十億ドルの時価総額に達したことが、その意義を実証している主張した。

一般投資家に、プロジェクトの初期から投資しチームと共に進歩する機会を与えることは、いかなる仮想通貨プロジェクトにとっても、強力で忠実なコミュニティを育成するために不可欠だ。

そして、「具体的でビジネス指向のユースケースを備えたソフトウェア製品の開発に専念している」アルトコインチームは、コミュニティの構築と公正なトークンのローンチについて、ミームコイン現象から学ぶことできるとアドバイスした。

ミームコインの台頭は、エキサイティングな新しいトレンドであり、少なくとも、ブロックチェーン技術が世界中の個人を結び付け、トークン化された資産を中心に有機的なコミュニティを育成する能力を説得力を持って実証するものだと言える。そして、その能力はかつてないほど強力になっていると見受けられる。

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