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NOT A HOTEL DAO始動、Web3戦略の信念と展望を語る|事業責任者&コミュニティマネージャーインタビュー

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

注目の国内IEO

2024年10月31日に暗号資産交換業者GMOコインでのIEO申込受付を開始したNOT A HOTEL COIN(NAC)。12月13日の上場と共に発足するNOT A HOTEL DAOプロジェクトへの関心は急速に高まっています。

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そこで、暗号資産(仮想通貨)メディアCoinPostでは、NOT A HOTEL株式会社のCTO(最高技術責任者)であり、かつWeb3事業責任者を務めている大久保貴之さんと、Web3コミュニティマネージャーの岡本伊津美さん両名に独占インタビューを実施させていただきました。

左:岡本伊津美 右:大久保貴之

NOT A HOTEL Web3事業責任者編|大久保貴之

(収録地:宮崎県・青島)

NOT A HOTELへの経営参画の経緯

私は大学院で博士号を取得した後、自分で会社を起業しました。右も左も分からないなか順調に成長していきましたが、”テクノロジー”にこだわりがあり、十分事業に活かし切れてない実感がありました。事業と自分の成長の限界が見え始めた時期に、NOT A HOTEL創業者の濵渦から声をかけていただき、ZOZOグループに参画する機会に恵まれました。

濵渦がZOZOから独立したタイミングから、私も改めて自分で会社を起こしたいと考え始めていました。濵渦から「新規事業を考えている」とNOT A HOTELのプランとビジョンを知らされ、「残りの人生を賭けて挑戦する価値がある」と確信して飛び込みました。

NOT A HOTEL DAOの構想はいつ生まれたか

NOT A HOTELのWeb3事業は、2022年のNFTからスタートしました。NFTは販売総額7.6億円、約360名の方にご購入いただきました。NFTは年1回必ずNOT A HOTELへ宿泊ができるサービスになっており、当時提供できる宿泊数に対して、NFTの発行可能枚数の限界に達したため2023年3月に販売を停止しました。

NOT A HOTEL DAOの構想は、2023年3月ごろからだったと記憶しています。ユーザーのフィードバックを確認しながら、「既存の物件を活用するだけでなく、みんなで新しいNOT A HOTELを作っていく」という方向性が重要だと考えました。特定の物件だけに依存せず、NOT A HOTELが好きな人たちが集まって、それぞれの理想とするNOT A HOTELを創っていくような。そういった可能性に活路を見出しました。

NOT A HOTEL DAOと一般的なWeb3サービスの違いは

率直に申し上げると、他のWeb3プロジェクトとの違いはあまり意識していません。私自身、NOT A HOTELでWeb3事業を開始するまで技術的な内容以外は素人同然でしたので「一般的なWeb3とはなんぞや」からキャッチアップを始めました。

よくも悪くも「Web3とはこういうものだ!」という概念がなかったこともあり、「お客様にどのような体験を提供したいのか、どのような暮らしを提供したいのか」を実現するための手段としてWeb3/ブロックチェーンを捉えることができていると思います。

既存事業とNOT A HOTEL DAOの棲み分けは

明確な棲み分けは資産の保有形態が異なることです。既存事業であるNOT A HOTELの物件販売でご購入いただいた方へ提供するものは、不動産所有権(一部信託受益権商品も)です。一方、NOT A HOTEL DAOで提供するものは、暗号資産NOT A HOTEL COIN(NAC)です。NACを保有している方がレンディング(貸出)を行った場合、NOT A HOTELへ宿泊できる利用権を提供します。

NOT A HOTEL DAOの取り組みは、物件の所有権ではなく、物件の”利用権”に焦点を当てており、利用権の流動性を高めることに注力しています。 保有するものに違いはありますが、NACホルダーには、物件購入者と同様な体験をしていただくべく、NOT A HOTELアプリのUI/UXには特にこだわりました。いろんな物件の宿泊権を保有することで、アプリ上に物件がずらっと並んでいるのをみるとワクワクしていただけるんじゃないかなと。

ユーザー体験でこだわっているポイント

こだわっているポイントはいろいろありますが、例えばスマートホームですと、どの物件でも同じ操作で設備を使えることです。

具体的な例を挙げると、NOT A HOTELの照明やお風呂・サウナの温度管理は、ユーザー自身のスマホや備え付けのiPadなどのデバイス機器から直観的に操作できるようにしています。これは、従来型のホテル体験における小さな不便を解消する試みの一つです。通常、ホテルに到着すると、まず「照明はどこでどのように操作するのか」を探すことからですよね。

また、NOT A HOTELへ宿泊するお客様は大きく分けて「物件購入者・一般ホテル宿泊・Web3ユーザー(NFT、今後はNAC)」が存在しますが、全てのユーザーへ同じ宿泊体験を提供しています。

一見些細なことですが、細かな不便さは積み重なると気分や満足感を損なうストレスの一つと言えます。NOT A HOTELではスマートホームを含め様々なテクノロジーを適切に活用することで快適な新しい暮らしを提供できていると自負しています。

NOT A HOTELにおけるWeb3の位置付けは

NOT A HOTELのWeb3サービスである、NFT購入者の方、NAC DAOにご興味いただいている方は、それまでにNFTや暗号資産をお持ちの方は比較的少数です。私たちは、Web3に詳しい方もそうでない方も、どちらも楽しんでいただける体験と環境づくりを心がけています。そのために重要なのは、サービス展開の順序だと考えています。

例えば、今回のNAC IEOもブロックチェーン技術を前面に押し出すアプローチも考えられます。しかし、この場合テクノロジーに関心の高い新しい層を惹きつけることはできると思いますが、既存のお客様を置き去りにしてしまうリスクがあります。私たちは、顧客の分断は絶対に避けたいと考えていて、体験価値を最優先に考え、テクノロジーはあくまでもその実現手段として位置付けています。

テクノロジーは今後も積極的に活用していきますが、NOT A HOTELとして”在るべき姿”を追求し続けることが、難しさでもあり事業開発の楽しさでもあると感じています。

RWAトークンならではの課題点

NAC IEOを実現するために特に苦労した部分は、RWA(実物資産)を伴う商品設計です。最も大きな課題は、物理的な建物という実体を持つ資産とデジタルアセットを組み合わせる点で、国内では前例のない取り組みであり、あらゆる施策が法規制や条例との整合性を確認する必要がありました。

たとえば、宿泊権のプレゼント企画一つとっても、景品表示法による規制に直面する場合があります。一般的なデジタル商品であれば価値の判断は比較的自由に決定できます。一方、NOT A HOTELの場合は建物の価値に加え、宿泊という体験の価値、予約システムを通じて実際にゲストとして利用できる権利など、RWAが故に、全ての価値(値段)が決まっている。

そのため、景表法など提供サービスの価値を上限とする規制の影響を受けやすいといえます。このように、リアルアセットとデジタルの融合によって、従来の暗号資産発行では想定されていない新しい課題が次々と浮上してきます。

IEO実施に向けて審査を行う立場である規制当局の方々にとっても過去に前例がないプロジェクトでもあるので、プロジェクトを前進させていくため、乗り越えていくべきハードルは多岐にわたりました。

信頼性や公平性を大事にしたい

私がNOT A HOTELにおいて、すごく良いなと感じる部分は、創業者の”濵渦伸次”という人格が芯にあり、すべてにおいて筋が通っているところです。

NOT A HOTELには、まだ物件も何もない状態のCGパース(イメージ画像)しかない頃に、私たちを信じてお金を出してくれたお客様がいます。その方々に支えられてきたからこそ現在(いま)がある。そのような経験が経営に迷った時の判断軸になっていて、たとえ冗談でも「事業としては儲かるかもしれないけど、ユーザーを誤魔化して利益を取りにいく」ような不義理な提案はしないですし、このような企業文化を損なう考え方は絶対にしないとみんなで戒め合っています。

「お客様の”信頼”を裏切らないこと」それが私たちの根本にある信念です。ブランドという言葉に置き換えることもできます。そのため今回のNAC IEOは、私たち関係者の持分を極力少なくし、ユーザーファーストな設計にすることにも強くこだわりました。

「NOT A HOTEL AOSHIMA CHILL」から青島を望む

NOT A HOTEL・Web3コミュニティマネージャー編|岡本 伊津美

収録地:栃木県・那須塩原

自己紹介

NOT A HOTEL株式会社でWeb3事業を担当している岡本と申します。

2015年にビットコインを知り、ブロックチェーンの可能性に魅了され、2017年にbitFlyerへ転職。その後複数社を経て、2022年にNOT A HOTELへ入社しました。本日は、よろしくお願い致します。

NOT A HOTEL DAO説明会の手応えは

NOT A HOTELを知り、物件に興味を持ったけれど「経済的な観点で手の届かない世界だ」考えていた方が、NAC DAOであれば購入できるから詳細を知りたいという理由で、開催中の各イベントにご参加いただいています。

全国現地説明会とオンライン説明会、クリプトコミュニティと共催させていただいているAMAセッションでは、回答しきれないほどたくさんのご質問をいただいており、一定の手応えを感じております。

「すべての人にNOT A HOTELを」というミッションのもと、2022年に販売したNFT、また今回リリースするNOT A HOTEL DAOのサービスは、Web3/ブロックチェーンを活用してNOT A HOTELを手に取りやすい形にDXを進めていますが、この方向性は間違いないと確信しております。

Web3プロジェクトを担当する上で意識していることは

意識している観点は2つあります。

1つ目は、NAC / DAOでご利用いただくサービスはあくまで、NOT A HOTELというRWAに紐づく体験であり、NOT A HOTELへの宿泊や食事などへの決済となります。宿泊体験を運営しているスタッフが提供しているホスピタリティのレベルと同様のWeb3サポートを提供する必要があると考えています。

2つ目は、顔が見える運営という観点です。NAC DAOが初めてのWeb3サービスとなる方が多いと考えています。またすでにビットコインやNFTなどを触ったことがある方でも、物理的なユーティリティが存在するWeb3サービスは初めてだという方が多いだろうなと。UIUX含め自信を持ってサービス提供させていただきますが、どうしても「初めてだからわからない」というストレスが出てくると思います。そのストレスを少しでも緩和できるように、わからないことがあったら、「DAOチームのあの人に聞いてみよう」という安心感を届けることです。

ホワイトペーパーをみて気になった点を質問させてください

追加IEOと無限発行トークンについて

追加IEOに関しては、聞きなれない言葉だと思います。実際に既存のWeb3プロジェクトが追加でIEOを実施した事例はありません。NOT A HOTEL DAOの持続可能性を考えた際に、エクイティやデット調達以外の第3の資金調達手段として、暗号資産プロジェクトなのだから「トークンでの追加調達もあってよいのでは」という発想が生まれ、追加IEOを実施できる設計として無限発行トークンという設計を選択いたしました。

NOT A HOTEL DAOでは、新たなNOT A HOTEL物件の取得をはじめとするユーティリティ性の向上やプロジェクトのさらなる拡大に向けた資金調達を目的として、NACの新規発行と追加IEOを実施する計画です。このプロセスは、全ユーザーに対して事前に十分な周知を行い、適切な準備期間を確保した上で、透明性を持って進められます。追加IEOを通じて、トークンのユーティリティ価値を一層高め、プロジェクト全体の持続的な成長を支えることを目指しています。

トークンを新規発行すると価値の希釈化がおこりNACの価格が下がる懸念は?

一般的に考えると、トークンの発行枚数が増えると価値が希釈化されるように見えると思います。NOT A HOTEL DAOの場合は、トークンを新規発行する際には新たにNOT A HOTEL物件などを取得するため、ユーザーに提供するユーティリティ(具体的には宿泊権)が増えます。あくまで、NACホルダーに新たに配るパイを増やすための調達という位置づけなので、新規発行の際の価格下落にはつながらないと考えています。

NACを長期保有することのインセンティブは?

NACを保有しているだけで、毎月宿泊権が5名に当たるキャンペーンを開催いたします。この宿泊権利の当選確率は、保有期間によって変動する予定なので長期保有していただくためのインセンティブになると思います。本キャンペーンは2025年春頃から開始予定なので、改めて公式からアナウンスいたします。

また、NACホルダーはアンケート機能を用いた意思決定への参加が可能です。運営やサービスへの意見・要望だけではなく、建設現場への見学会参加や、新しくつくる物件を決める投票など、NOT A HOTELが出来上がるまでのプロセスに参加していただくことを予定しています。

建築プロセスに携わることで「地方を共に創る」というNOT A HOTEL DAOの醍醐味を体験することができることも、NACを保有するインセンティブになると考えています。

NACの海外展開について

現在の予定では、NACを海外の取引所へ上場させるなどの具体的な検討はしていません。足元のタスクとしてはNAC IEOをやりきることと、まずは国内ユーザーコミュニティをしっかりと立ち上げとNAC決済を実施できる場面を増やすことを優先的に進めていきたいと考えています。

進捗事項は国内でのサービス開発を優先していきますが、もちろん海外展開も前向きに考えていきたいと思います。

地方創生への貢献

NOT A HOTEL最初の拠点は宮崎県の青島から始まりました。長く廃墟として元気をなくしていた場所を更地にして、緑を植えることからはじめ、NOT A HOTEL AOSHIMAをつくり、今では県内の地価上昇率2年連続トップとなるほど、元気な場所となりました。実際訪れていただけるとわかるのですが、とても明るく、エネルギーに満ちた場所になっているように思います。

このような場所は日本の各地にあると思います。全てを私たちだけで行うことは、難しく、とても時間がかかります。このNOT A HOTEL DAO の仕組みを通じてAOSHIMAのような事例をみんなで創って行けたらよいなと考えています。

今後の展望について

短期的な展望については、IEOでNACを購入いただいた方へきちんとサービスを提供しきることです。ここからが本当の意味でのスタートだと考えています。

中長期的な展望としては、抽象的ですがRWA×Web3やDAOというサービスのあり方の模索。Web3業界がより発展していくための良いチャレンジを恐れずに進めていきたいと思います。

大久保氏・岡本氏からのCoinPost読者へのメッセージ

CoinPostのユーザーさんは、暗号資産・ブロックチェーン業界の未来や将来性に可能性を感じている方が多いのではないかと思います。

その点において、NOT A HOTEL COIN(NAC)は、国内プロジェクトやWeb3業界への新しいチャレンジとなっていると思っていますし、誠実にプロジェクトに向き合っていきたいと考えております。ぜひ応援よろしくお願いします。

CoinPost編集部・総括

今回、GMOコインのIEOを控えた投資家参加型のNOT A HOTEL DAO 現地説明会に、メディア取材として同行させていただく形で、現地インタビューやNOT A HOTELの撮影を行いました。

忖度なしに彼らの立ち振る舞いから感じたのは、自社サービスに賭ける情熱とユーザーファースト(顧客第一主義)の理念、そして内面から溢れ出るホスピタリティの精神でした。

数年間に渡って議論を尽くし、考え抜いたというNOT A HOTEL COIN(NAC)およびNOT A HOTEL DAOのWeb3サービス設計。満を持してのIEO販売やセカンダリ市場でのNAC購入・保有を検討される方は、ぜひCoinPostの特集記事を参考にしてみて下さい。

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