「PolitiFi」トークンの役割とは
カナダを拠点とする研究者らは、PolitiFiトークンが選挙活動で示す役割について分析する論文を発表した。
こうしたトークンを戦略的に展開することで、候補者が暗号資産(仮想通貨)分野で知名度を高め、ストーリーを形成し、若く、技術に精通した層の有権者にアピールできると述べている。
論文著者のジュリアン・プロエルス氏らは、「PolitiFi(政治金融の意味を表わす造語)」トークンは、政治家やその運動と関連付けられることが多いミームコインだと定義した。
認知向上、物語の形成、仮想通貨による寄付の勧誘、テクノロジーに精通した若い有権者へのアピールなどの目的に使用されるとしている。
この論文が書かれたのは、トランプ氏の大統領再選が決まる前とみられ、代表例としてはトランプ氏の非公式ミームコイン「MAGA」などが挙げられていた。現在は、トランプ氏の公式ミームコイン「TRUMP」もリリースされているところだ。
ミームコインとは
インターネット上で話題になることで人気を集めるコイン。代表的なものにイーロン・マスク氏がSNSで言及することで取引量が急増したドージコイン(DOGE)がある。2020年にドージコインを踏まえてリリースされたSHIBA INU(SHIB)も存在。
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今後、資金調達に影響する可能性も
研究者らは、アフリカ系アメリカ人やヒスパニックなどのマイノリティや、ミレニアル世代とZ世代など若い層で仮想通貨の所有率が多いため、PolitiFiコインが、こうした過小評価されてきた有権者とつながる方法になると述べた。
また、実証的証拠によると、PolitiFiトークンは主要な選挙イベントに大きく反応しており、特に若くテクノロジーに親しい有権者における選挙関連の感情をリアルタイムで反映する指標になっていることが示唆されるとしている。
市場感情、有権者の行動、候補者の当選可能性などを反映する金融商品に成長しているとの見解を示す格好だ。
また、今後PolitiFiトークンは選挙の資金調達の動きにも影響を与え、ある候補者が仮想通貨に友好的な分散型の寄付者基盤を構築する力を与える可能性もあるとしている。
利益相反との批判
米国ではトランプ氏のミームコイン「TRUMP」に対して民主党から批判の声も上がっているところだ。
ジェラルド・コノリー議員は、TRUMPコインの事業は、トランプ一族の関連会社が運営しており、他の関連企業とともにトークンの80%を所有していると指摘し利益相反の懸念を表明した。
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「TRUMP」トークンは、スニーカー、腕時計、フレグランスを販売するトランプ氏関連ブランドの商品購入にも使えるようになる。
一方で、トランプ政権のAI(人工知能)・仮想通貨特命官を務めるデビッド・サックス氏は、個人的見解と留保しつつ、ミームコインは「収集品」に分類されると意見。
ミームコインは野球選手のカードのように収集されるものであり、「TRUMP」もそうした性質を持っているので利益相反には当たらないと示唆した。
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