トークン化ファンドを担保に
暗号資産(仮想通貨)取引企業QCPは9日、米資産運用大手ブラックロックのトークン化ファンド「BUIDL」の最初の指定マーケットメイカーになったことを発表した。
BUIDLを担保にしたデリバティブ取引を実際にSecuritize Credit社と行なったことも報告。これから、機関投資家の利益を増やしたり、ポートフォリオの効率性を高めたりできるようにしていくと説明した。
関連:ブラックロック、RWAトークン化企業Securitizeの73億円調達を主導
BUIDLはブラックロックが24年3月に発表したトークン化ファンド。イーサリアム(ETH)などのパブリックブロックチェーン上で発行され、ファンドの所有者に米ドルの利回りを得る機会を提供している。
関連:ブラックロックの米国債RWAファンド、4ヶ月で800億円の資金流入
QCPは、これまで投資の担保などに利用されてきたステーブルコインについて、デジタル金融の基盤の役割を果たしていると評価しながらも、BUIDLのような金利を生む資産を担保に使うことに以下の優位性があると主張した。
- 担保の利回りを維持しながら複利効果が得られ、利益を増加させることができる
- ステーブルコインに代わる新たな担保モデルをトレーディングデスクに提供できる
- BUIDLは規制下にあって投資家が保護される有価証券のため、機関投資家にとって理想的な担保になる
発表では、BUIDLのような現実資産(RWA)をトークン化した資産を先駆けて活用することで、機関投資家の担保戦略を再構築していくと説明。今後もBUIDLの活用方法を模索し、金利スワップ取引を介した活用も探っていくとした。
関連:現実資産トークン化に投資家の関心が集まる理由、リアルワールドアセット(RWA)とは
実際のリターン
今回の発表でQCPは、Securitize Credit社の取引のリターンを記載。Securitize Credit社はBUIDLを担保にして、ビットコイン(BTC)の6カ月のベーシス取引を行なった。具体的な利回りは以下の通りである。
- BUIDL本来の利回りが年4.25%
- ベーシス取引を組み合わせた戦略で利益率が年10.78%に増加
- QCPが考案したオプション取引戦略を組み合わせて利益率が14.38%に増加
ベーシス取引とは
一般的に、現物価格と先物価格の価格差(ベーシス)を利用して利益を得る取引を指す。具体的には、割安な投資対象を買い、割高な投資対象を売るポジションを取る手法のこと。
▶️仮想通貨用語集
QCPは、市場でほとんど例を見ない水準にまで利益を高めることができたと説明した。
関連:「仮想通貨デリバティブ取引の担保にBUIDLの活用を」ブラックロックがバイナンスらと検討=ブルームバーグ